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屋久島から見たH2A夜間打ち上げ 青い月に向かって突き進む火球

ロケットの火球が青い月に向かって突き進むように見える

ロケットの火球が青い月に向かって突き進むように見える

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 種子島宇宙センター(鹿児島県南種子町)からH2Aロケット45号機が打ち上げられた12月23日深夜、屋久島では、同センターのほぼ真上に上った月に向かい同機が、火の玉のように突き進んでいるのが見えた。

低い雲を照らし、煙を引きながら上昇するロケット(打ち上げ1分後まで)

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 同機は12月21日深夜の打ち上げ予定だったが天候の影響で1日遅れ、直前になって生じた確認作業でさらに約1時間遅れた。日付が変わった23日0時32分、打ち上げられた。

 丸い屋久島の東端のやや突き出た場所にある屋久島空港(屋久島町小瀬田)は、同センターのほぼ真西に当たる。この日、東から上った月は、打ち上げ時刻にはまだ低い位置にあったが次第に高く上り、同空港と同センター、月がほぼ一直線に並んだ。屋久島から同センターを目視できないが、上空を旋回する警備用ヘリコプターのものと思われる明かりで、おおよその見当が付く。満月は数日前に終わっていたが、それでも明るく輝く月が低空の雲を照らす。

 打ち上げ時刻になり照らされた雲の辺りが瞬き始めると、雲がちょうちんのようにまぶしい光を放ち始め、約1分後、雲の上に火の玉のようにも火球のようにも見える同機が飛び出した。吹き出す白煙を次第に黒く変えながら真上に向かって突き進む同機は、まるで月に向かっているよう。同機が赤く輝いているせいか、月は青く見える。

 しばらくすると、静寂を破る低いごう音が屋久島に届いた。夜間の打ち上げでは窓が揺れるほどの衝撃波が届くこともあるが、風向きのせいか、この日は届かなかった。同機が上昇を続けるにつれて火球はどんどん小さくなり、月はいつも通りの黄色に戻った。

 赤道方向に向かう同機の火球は次第に、地平線に落ちそうな方向に進路を変え、視界から消えた。

 30分ほどすると、同機は搭載していた英国の通信衛星を予定の軌道に投入。打ち上げ成功の一報が届いた。

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