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屋久島の山小屋にたまった1年半分のし尿、3日間かけてヘリコプターで搬出

タンクをつり上げてヘリポートに運ぶヘリ

タンクをつり上げてヘリポートに運ぶヘリ

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 屋久島2カ所の山小屋でトロッコ故障のため1年半運び出せなかったし尿が8月22日~24日、ヘリコプターを使って搬出された。

340リットルのタンクをヘリのワイヤーに固定する作業員

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 屋久島に6カ所ある山小屋(避難小屋)にはトイレが付いているが、いずれもくみ取り式のため山道を人力で担ぎ下ろし、バキュームカーで処理施設に運搬している。縄文杉近くの高塚小屋と新高塚小屋については、大株歩道入り口までを人力で行い、その先の荒川登山口まではトロッコを使っていた。もともとは材木の切り出しに使われていたトロッコだが、現在はトイレの管理が主な用途。屋久島町から委託を受けた清掃会社がトロッコの気動車を所有して維持管理、レールの補修や倒木の撤去などの保線作業を行いながら運営してきた。

 トロッコ軌道は荒川登山口からさらに麓の集落まで続くが、その区間は沿線にある水力発電所管理のために、島内で発電事業を手がける屋久島電工に払い下げられており、保安上の理由で一般の立ち入りは禁止されている。同社が所有する気動車は発電所の維持管理に頻繁に利用されており、し尿運搬には使えない。

 一昨年の暮れに清掃会社の気動車が故障し、搬出作業は停止した。新高塚小屋から大株歩道までの標準所要時間は3時間。トロッコ道を歩くとさらに3時間弱かかる。この距離を40キロ以上のタンクを背負って下山するのは簡単ではない。気動車の修理は昨年8月に完了したものの、その間使用していなかった軌道の傷みが激しく、直ちに運行再開できない状態だった。これまでにたまったし尿は、両小屋を合わせて90リットルのポリバケツ70個分にもなった。

 この問題を解決するため、ヘリコプターをチャーターして一挙に搬出することを別の清掃会社が提案。山小屋でタンクをつり上げ、ヤクスギランドの近くにある山岳作業用のヘリポートまで直線距離約9キロの区間をピストン輸送し、待機しているバキュームカーに積み替えるというもの。町によるとヘリコプターを使ったし尿の搬出は初めてだという。

 搬出作業は8月22日に始まり、当初は2日間の予定だったが悪天候のためはかどらず、24日まで延長して終了した。

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