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トロッコ運転資格取得・屋久島警察署山岳救助隊員が救助訓練

訓練で「現場」に向かうトロッコ(屋久島警察署提供)

訓練で「現場」に向かうトロッコ(屋久島警察署提供)

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 トロッコを活用した救助活動のために森林軌道運転職員認定証を取得した屋久島警察署の山岳遭難捜索救助隊の隊員が1月9日、山岳救助訓練を健康の森公園(屋久島町安房)で行う。

真新しい認定証を示す隊長の網戸さん

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 山岳救助隊は21人の隊員で構成され、屋久島の山中で起きた遭難事故に関する捜索や救助を行うもので、年10回程度出動している。今年5月の豪雨で山に取り残された登山者の救助や、9月に山中で発見された身元不明遺体の捜査は記憶に新しい。状況に応じて県警のヘリや機動隊の応援を受けるため、ヘリにけが人を収容する救助用ウインチ(ホイスト)の扱いなどさまざまな訓練を受けている。

 今年5月にトロッコ運転資格を取得したのは、隊長の網戸正博さんと隊員の鳥越健聖(けんせい)さん。「緊急事に素早く動けることと、救助隊員の中でも特に体力の優れた2人が選ばれた」と網戸さん。この資格があれば、縄文杉登山の起点となる荒川登山口から7.1キロ先の終点までトロッコで移動できる。健脚の隊員でも歩けば2時間かかる距離がトロッコを使えば50分程度ですみ、台車を使えば、救助用機材やけが人を運搬することもできる。トロッコは常時荒川登山口に待機しており、緊急時には警察官の運転で直ちに出動できる。12月4日には、実際にトロッコを使った救助訓練を行い、レール状態の確認や無線連絡の問題点などの検討も行っている。

 認定証は屋久島独自のもので、屋久島森林管理署が教育を行った後、学科と実技の試験に合格すれば授与される。基本的な運転技術に加え、軌道が登山道として使われているため、登山客らに危険が生じないよう安全運転技術も要求される。屋久島の消防隊員のうち、すでに17人がこの資格を持っている。

 網戸さんは「屋久島では警察、消防署、消防団、森林管理署、役場、ガイドらが連携して山岳遭難に備え、登山の安全・安心に尽力している。救助隊が出動するのは生命に関わるような緊急事態なので、出動要請は最後の手段と考えてほしい」と話す。

 1月9日、「110番の日」に合わせて行われる訓練には、網戸さん・鳥越さん含む6人の山岳救助隊員が指導に当たる。小学生も参加でき、親子での登山中に親が倒れて子どもが救助隊を呼ぶというシナリオで、正しい110番の仕方を学ぶ。「県警ヘリも出動し、山岳救助がよく分かるイベントなのでぜひ見学に来てほしい」と網戸さん。

 開催時間は10時~11時。

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