鹿児島県茶生産協会が11月、屋久島産「べにふうき紅茶」などをセットにした試供品「かごしま茶」の配布を始めた。
鹿児島県の荒茶の生産量は昨年度2万8000トンで全国2位。1位静岡県の2万9500トンに迫り、3位三重県の5910トンを大きく引き離している。そんな鹿児島茶の良さをPRすると同時に、新型コロナウイルスの影響で消費が落ち込んで苦戦する茶農家を支援しようと試供品を企画した。
協会が県内各地の生産者から荒茶を買い上げ、仕上げ加工をした後、50グラム(個人用)または200グラム(企業用)ずつ袋詰めにしたものをセットにして配布している。セット内容は、一番茶をブレンドした「かごしま茶」、銘柄茶の「べにふうき」「ゆたかみどり」「さえみどり」、スティック状の「かごしま抹茶」の5種類。協会では来年2月まで随時試供品の生産を行い、最終的には50グラム版を7万2000セット、200グラム版を3万セット配布する予定。
試供品には、「べにふうき」の紅茶または緑茶のいずれかが入っている。もともと紅茶用として開発された品種だが、カテキンを多く含み、緑茶としても利用されるようになった。屋久島で有機栽培を行っている白川茶園(屋久島町志戸子)は、協会の要請を受けて「べにふうき紅茶」を納入した。
白川茶園を営む白川満秀さんは、熊毛地区(種子島・屋久島)の茶業推進協議会副会長。「コロナ禍で価格が例年の5分の1に落ち込んだ銘柄もあり、協議会で対策を検討していたところ、協会から試供品の企画を知らされ、積極的に協力した。試供品を通じて鹿児島茶のおいしさをより多くの人に知ってもらいたい」と話す。