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口永良部島でテナガエビの希少種発見 従来の北限、500キロ以上更新

発表論文を示す讃岐さん

発表論文を示す讃岐さん

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 屋久島環境文化研修センター(屋久島町安房)の讃岐斉(ひとし)さんらの研究グループが、口永良部島で発見したネッタイテナガエビの報告論文を、12月20日付の日本生物地理学会会報で発表した。

ネッタイテナガエビを採集した貴舩さん(金岳小中学校提供)

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 研究グループのメンバーは讃岐さんのほかに、研修センターの渡邉卓実さん、鹿児島大学水産学部の大富潤さん、千葉県立中央博物館の駒井智幸さん。この調査・研究は、研修センターの運営母体である屋久島環境文化財団と鹿児島大学水産学部との共同研究「大隅諸島における十脚甲殻類の分布と個体群生態に関する研究」の成果。

 讃岐さんと渡邉さんが昨年6月に口永良部島の金岳(かながたけ)小中学校で「エビの研究」と題する出張講座を行った際、学校近くの水路でエビの採集をしたところ、当時小学4年生だった貴舩(きぶね)桃さんが採集したエビの中に、ハサミに特徴のある長い脚を自分で切り離したと思われる3センチほどの小型のエビがいるのに渡邉さんが気付いた。報告を受けた讃岐さんがネッタイテナガエビだと思い駒井さんに同定結果の確認を依頼し、ネッタイテナガエビの雄だと判明した。ネッタイテナガエビはフィリピンなどの熱帯から亜熱帯に分布する希少種で、日本では沖縄本島、石垣島、西表島でしか報告されていなかった。今年6月には同じ水路で、ふ化期の卵を抱いている雌を採集した。

 エビが見つかった水路はコンクリート製だが草が生え、湧き水が流れて島の南側の海に注いでいる。讃岐さんは「南方から黒潮に乗ってはるばるやってきた幼生が島にたどり着き、水路をさかのぼって落ち着いたようだ。湧き水の温度は冬でも20度を超え、ネッタイテナガエビの生息に適しているのでは」と話す。

 「今回の調査・研究は、学術的な成果だけではなく、地域への教育にも貢献し、口永良部島の自然環境の素晴らしさの再発見にもつながった」とも。

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