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屋久島の詩人の作品を謡う 山尾三省の「聖老人」の創作謡を能楽師が上演

詩人山尾三省の命日の法要の後、参列者の前で創作謡「聖老人」の奉納公演が行われた

詩人山尾三省の命日の法要の後、参列者の前で創作謡「聖老人」の奉納公演が行われた

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 屋久島に暮らした詩人、山尾三省の詩を能楽師が謡うイベント「屋久島で アニミズムの詩人 山尾三省を謡う」が8月27日~29日、5回に分けて開催された。

詩人山尾三省の自宅近くの橋の上で、謡い上げたのは観世流シテ方の能楽師4人

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 会場は、屋久杉自然館、屋久島環境文化村センター、安房公民館といった公共施設。山尾三省の命日となる8月28日には、詩人の暮らした屋久島町一湊の白川山集落で創作謡「聖老人」の奉納公演も行われた。

 「聖老人」は、山尾三省が屋久島に移住した翌年に当たる1978(昭和53)年に発表された詩。屋久島のシンボルともいえる縄文杉をたたえた歌として度々、メディアにも取り上げられてきた。

 今回来島したのは、観世流シテ方の能楽師4人。重要無形文化財総合指定保持者の泉雅一郎さんを筆頭に、山本正人さん、久保誠一郎さん、山口剛一郎さんがパートに分かれ、「あなたが黙して語らぬ故に/わたくしは/あなたの森に住む/罪知らぬひとりの百姓となって/鈴振り/あなたを讃(たた)える歌をうたう」と、伝統芸能の鍛えられた声で全文を謡い上げた。作曲は現代音楽の作曲家、藤枝守さんが担当した。

 イベントを主催した「パフォーマンス イン ミュージアム実行委員会」の企画制作担当、伴野久美子さんは「三省さんが亡くなる1年半前のまだお元気だったころ、電話で創作について話し合った。『日本の伝統芸能で作品が演奏されるのは初めて』と楽しみにしていた本人に聴かせられなかったけど、今回の公演が実現してうれしい」と話す。

 公共施設での公演では、山尾三省を記念して毎年行われている詩のコンクール「オリオン三星賞」の入賞作の朗読や、能の略式上演である「仕舞」も披露され、観客は島で直接触れる機会の少ない伝統芸能を楽しんだ。

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