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明治時代に建てられた白亜の屋久島灯台 国の登録有形文化財に

青空に白亜の壁が映える屋久島灯台

青空に白亜の壁が映える屋久島灯台

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 国の審議会が3月19日、屋久島北西部の永田岬に立つ屋久島灯台を有形文化財として登録するよう文部科学大臣に答申した。

登録を喜ぶ(右から)川崎さん、前田さん、永田区長の田中一巳さん

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 屋久島灯台は、台湾航路を整備するために1897(明治30)年に設置され、高さ約20メートルの灯塔と、下部の付属舎からなる。灯台の光は約40キロ届き、これは沖に浮かぶ口永良部島までの距離の倍以上。鹿児島海上保安部の管理の下、現在も沖縄・奄美航路など大型船が行き交う屋久島海峡の安全航行に寄与している。

 当初は灯油だった光源が、1955(昭和30)年から自家発電による電気式に変わった。発電機用の燃料は巡視船が運搬し、海から約70メートル上の灯台まで運び上げた。そのための険しい道がかつて灯台の両側にあり、風向きによって使い分けた。

 現在は九州電力から電力の供給を受け、付属舎北側の光センサーで点灯・消灯を自動制御しており、灯台は無人。約2日分の電気を蓄えるバッテリーを備え、停電時には自動で切り替わる。委託業社が年2回ほど機材の定期点検を行い、海上保安部の職員が随時来島して建屋も含めた現況調査をする。保安本部のある鹿児島市からは高速船でも2時間以上かかるため、日常の点検や補修は島民が担当する。

 「海上から見る屋久島灯台は日本一」と話す漁師の前田富矢さんは、漁の行き帰りはもちろんのこと、自宅からも灯台が点灯しているか注意を払う。自宅から灯台は見えないが、周囲の明るさで点灯を確認する。異常があれば海上保安部に直ちに通報する。友人たちと灯台裏手のえびす様の管理も行い、周辺の草刈りもする。

 前田さんや沖合を通過する船舶から通報を受けた海上保安部は、電気技師をしていた川崎良弘さんに点検・修理を依頼する。点検に必要な計器類や修理に必要な機材、交換用の電球などは付属舎にそろっている。雨漏りの応急修理もするが、「島内の他の灯台と比べ、屋久島灯台は雨漏りも少なく、120年以上前の建物だが頑丈にできている」と話す。

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