屋久島空港(屋久島町小瀬田)の滑走路を500メートル延伸するための鹿児島県の基本計画についての住民説明会が1月27日・28日、島内3カ所で行われた。
屋久島空港には現在、鹿児島、大阪(伊丹)、福岡からの3路線が就航しているが、滑走路が1500メートルと短く、運用できる旅客機はプロペラ機のみ。2000メートルに延伸することで、より航続距離の長いジェット旅客機が離着陸でき、東京(羽田)との直行便が可能となる。鹿児島乗り継ぎと比べると所要時間・運賃とも大幅に改善される。65歳以上が対象の「当日シルバー割引」も、直行便なら購入する航空券が1枚で済む。
空港近くの役場本庁舎で開かれた説明会には一般住民と役場職員ら120人ほどが参加し、県屋久島事務所の職員が配布資料に沿って基本計画を説明した。計画案では、現在の滑走路を南東方向に320メートル、北西方向に180メートル延伸する。これによって海上を埋め立てる必要がなく、南東側で切り取った土を北東側の盛り土としてバランスよく利用できるという。滑走路の両端にある「安全区域」の一部が県道に掛かるため、本庁舎付近で県道の付け替えが必要となる。
滑走路延伸に合わせ、ジェット旅客機が駐機できるエプロン(駐機場)を新設、ターミナルビルの場所を移動して駐車場も増設する。現在は目視による着陸を行っているが、視界不良時でも安全に着陸できるよう、計器着陸のための「ローカライザー」装置や進入灯を新設する。これら空港施設・設備の工事は、滑走路の工事も含め、空港の運用を止めることなく進められるという。
質疑の時間では、従来不便だった点の解消、航空会社の競合などによる運賃値下げ、マイルストーンの早期策定などの要望が出された。空港延伸に期待する声が多かった反面、空港周辺には住宅やホテル、会社などがあり、騒音問題はじめ地域住民の生活への影響を懸念する声も聞かれた。県の担当者からも、近辺の動植物への影響や離着陸の支障となる建物への対応など、計画を具体化していく課程で解決すべき課題が挙げられた。
県と町では現在、基本計画案に対する住民の意見を募集している。回答期限は2月28日。