正月の伝統行事「鬼火焚(た)き」が1月7日、屋久島町の各集落で行われた。
「鬼火焚き」は正月飾りを焼いて、悪霊(鬼)を追い払い、無病息災を願う鹿児島の伝統行事。屋久島の各集落で毎年行われており、やぐらの形や鬼の退治方法など、内容は集落によって異なる。
春牧集落では竹や門松などを集めて作ったやぐらの先端に、集落の子どもが描いた鬼の絵をくくり付ける。各家庭が去年の正月飾りをやぐらに置いた後、年男の子どもが弓矢を使って鬼を退治し、年女の子どもが点火した。子どもたちが弓矢や火を扱う時は、大人たちが手を添えてアドバイスする様子が見受けられた。
やぐらが燃え上がると、中の竹と爆竹が鬼を追い払うようにバチバチと大きな音を立てた。人々はあらかじめ用意されたササの枝と、「バチバチの木」と呼ばれるウバメガシの枝を火であぶった。この小枝は持ち帰って玄関先に飾ると、1年の魔よけになるといわれる。
春牧区長の外薗(ほかぞの)正流さんは「今年は風が強かったので心配していたが、無事に終わってほっとした」と安堵(あんど)の表情を見せた。
行事の後は区の婦人部が温かいぜんざいを振る舞い、会場は和やかな雰囲気に包まれた。