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屋久島の埴生窯で窯出し ヤクタネゴヨウの保護活動にも貢献

たき口の下に火を入れて窯たきが始まる

たき口の下に火を入れて窯たきが始まる

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 屋久島の「埴生窯(はにいがま)」(屋久島町安房、TEL 0997-46-2179)で11月20日、焼いた陶器を窯から取り出す窯出しが行われた。

周りの自然に知らせて窯たきの安全を祈願する

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 埴生窯では、京都・清水(きよみず)で修業した陶芸家の山下正行さんが、電気やガスではなくまきを使って焼きたいと、安房の山麓に斜面を利用して作った長さ10メートルほどの窖窯(あながま)を使う。初代の窯は阿多良(あたら)と呼び、現在の窯は2代目。架空の動物をモチーフにした一輪挿しなどを制作する。

 窯たきのまきは、ヤクタネゴヨウ保護の目的でクロマツを使っている。ヤクタネゴヨウは、屋久島と種子島だけに自生する五葉のマツ。屋久島西部には直径が2メートル以上の巨木が見られるが、葉が褐色に変化するマツ枯れ病などのために個体数が減少し絶滅危惧種に指定されている。マツ枯れを防ぐには感染したマツを切り倒して焼却する必要があり、「大量のまきを使う陶芸の窯で使えないか」とヤククタネゴヨウの調査と保護に取り組む手塚賢至さんから2016(平成28)年に打診があったという。山下さんは「それまで主に使っていた杉と比べ、クロマツは油煙が出てゆっくりと燃えるので扱いやすく、作品の焼き色も良くなる」と話す。

 今回の窯たきでは、地元の土を練り込んだ粘土で作った約1000点の作品を5日かけて窯に詰んだ。火入れの際には洗米、塩、焼酎をまき、乾燥したセージに火を付けて周りの自然に知らせ、安全を祈願してから本格的な窯たきに入る。火入れから4日で火を落とし、2日間かけて窯の温度が下がった時点で入り口のレンガを外して作品を取り出した。

 今回の作品のうち200点ほどは、11月25日~12月1日に福岡市の「ギャラリー風」(中央区天神、TEL 092-711-1510)で開かれる個展「陶展 山下正行 日々の器と動物たち」で展示される。

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