屋久島に暮らした詩人・山尾三省の生誕80年を記念した作品集「火を焚(た)きなさい」が10月31日、野草社(東京都文京区)から刊行される。
カバーと趣の異なる表紙など、クラフト感あふれるデザインは三木俊一さんが担当した
山尾三省は1977(昭和52)年に屋久島の一湊白川山に移住。2001年に亡くなるまで、島の自然や家族、仏教やアニミズムをテーマにした作品を書き続けた。
生前に遺(のこ)した44点の著作と詩集から、48編の詩、4編の散文を紹介する同書。「火を焚きなさい」「聖老人」「びろう葉帽子の下で」など代表的な詩作品のほか、散文「子供達への遺言・妻への遺言」などを収めている。
装画とイラストを担当したのは、画家のnakaban(なかばん)さん。屋久島を舞台にした絵本「わたしは樹だ」(アノニマスタジオ)を描いたり、昨年開催された「縄文杉発見50周年記念」のスタンプラリーに図案を提供したりするなど、島とゆかりが深い。解説は布作家の早川ユミさんが担当した。
nakabanさんは「どのような時間の過ごし方を志向したらいいのかと示してくれるような三省さんの言葉には、地に足の着いたある種の頼もしさを感じる。ネット上のつながりや自己主張ばかりで表面的な社会になってしまった今こそ静かに読みたい本」と話す。
四六変形判192ページ、価格は1,800円。全国書店、屋久島内の飲食店や宿泊施設、商店で販売する。