学ぶ・知る

屋久島の伝統行事「岳参り」 山岳信仰を通し感じる島の歴史と自然の豊かさ

集落に向かって錫杖を振り祈る藤山さん

集落に向かって錫杖を振り祈る藤山さん

  •  

 屋久島町の松峯集落で9月23日、伝統行事の岳参りが行われた。

一列になって歩く参加者

 岳参りは各集落の代表者が信仰の対象としている山にお参りに行く行事。年に2回、旧暦の5月と9月に行われる。松峯の神山は標高651メートルの明星岳。参加者は松峯と安房の住民を中心に17人が集まり、小学生や若い女性の姿も見受けられた。

[広告]

 登山口から山頂まで約2時間。先導の藤山倉作さんが祠(ほこら)の前に、里から持ってきた塩、米、海砂とお神酒を供える。線香をあげ、錫杖(しゃくじょう)を振り鳴らし、般若心経を唱え終えると「集落の人々の健康や平和、商売繁盛などを願った」と安堵(あんど)の表情を見せた。この日は天候に恵まれ、山頂から安房の町と海、青空を一望できるほど晴れ渡った。

 下山後、松峯生活館で集落の女性がサカムカエを行う。集落を代表して岳参りした人々をねぎらい、料理でもてなす。参加者らはテーブルを囲み「サカムカエの名の由来は『酒で迎える』『坂へ迎えに行く』『人間と山の神の堺に迎えに行く』と諸説ある」など岳参りにまつわる話も交えながら、和気あいあいと話を弾ませた。

 屋久島で生まれ育った藤山さんは、2013年から明星岳の岳参りを先導している。「約30年前、廃れかかった岳参りを絶やさないために、父が明星岳の祠をトタンから耐久性のある花こう岩に変えた。最近は息子にも岳参りの先導をサポートしてもらっている。ゆくゆくは引き継いでもらえたら」と笑顔を見せる。

 道中はヒメシャラの巨木や屋久島の固有種である貴重な植物も見られ、屋久島の伝統や歴史だけでなく、自然の豊かさも感じられる岳参りとなった。