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創業83年「八重岳食堂」の3代目が語る 名物「屋久島定食」への思い

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安房にある八重岳食堂

――自己紹介をお願いします。

 出身は屋久島の安房です。鹿児島市内の高校へ進学し、そのまま就職しました。長男なので両親の後を見てあげたいという思いがあり、29歳のころ屋久島へ戻ってきました。

――清田さんが店主を務める「八重岳食堂」について教えてください。

 1933(昭和8年)年、創業83年です。小学生のころは祖母がやっていて、時々食べに行ったりしていました。川から近く、景色がいいなと思いながら過ごしていました。今も変わらず、安房川のほとりにあります。店を引き継いで20年になりますが、昔からの味も守りつつ、自分たちで工夫し進化させている部分もあります。

――店名の由来は何ですか。

 母から聞いた話ですが、祖母の好きになった方が沖縄か奄美の出身で、安房から山を眺めながら「八重の山が重なってきれいだね」と言っていたのを聞いて、祖母がひらめいたそうです。八重山だと沖縄っぽくなってしまうので、八重岳になりました。

――メニューはどのようなものがありますか。

 お薦めは「屋久島定食」です。トビウオがメインの定食で、刺し身、つけ揚げ、焼き魚などさまざまな形で出しています。安房はトビウオの町。首折れサバも有名ですが、安房に来たらやっぱりトビウオを食べてもらいたいですね。鹿児島方でもトビウオの刺し身を食べる機会は少ないと思います。淡泊な中にも甘みがあって、11~12月の時期が一番おいしいです。一年中取れるトビウオですが、10センチくらいのものから30センチを超えるものまで大きさもさまざまで、呼び名も異なります。トビウオのいろいろな面を知ってもらう機会になればいいなと思っています。そのほか、ラーメン、ギョーザ、各種定食などもあります。唐揚げなど居酒屋的なメニューもそろえているので、昼も夜も楽しんでいただけると思います。

――屋久島ではめつけている(頑張っている)ことはやはり食堂のことでしょうか。

 そうですね。しばらくは母といっしょに店をやっていましたが、母が引退するとき、周りの方から「一人でできるのか、大丈夫なのか」と言われました。それでも今まで頑張って続けられたことが誇りです。職を変えようと思えば変えることもできましたが、「この仕事を続けるんだ、この店を残していくんだ」という強い気持ちがあり、続けることができました。

――清田さんにとって屋久島はどのような存在ですか。

 高校を卒業していろいろな場所で就職しても、どこにいても忘れない場所です。全国版の天気予報を見て、鹿児島が雨だと屋久島はもっと雨だなとつい考えてしまうような、忘れられない故郷です。

――今後の目標を教えてください。

 妻と2人、店を維持していくことと、個人的には妻より長生きすることです。妻は神奈川から来てくれたので、自分が死ぬと独りぼっちになってしまいます。一日でも二日でも、長生きできればなと思います。これからも夫婦仲よく、店を守っていきたいです。  

 「やくしまじかん」の放送は毎週土曜13時30分~13時50分。

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