屋久島町南部にある小島神社(屋久島町小島)で11月28日、伝統行事「夜(よ)ごもり」が行われる。
麦生から栗生の屋久島南部に伝わる同行事は10月と11月の年2回、各集落の青年団が中心となって行っている。10月は「送り」と呼ばれ、神社の神様が出雲大社へ出発するのを見送る。「留守の間は、自分たちが村を守る」という意味を込め、拝殿内で深夜まで過ごす。11月は「迎え」といい、出雲から戻ってきた神様を出迎える。
神社に若い未婚の男女が集まり、縁組の祈願もかねていた同行事。「屋久島町郷土誌」によると「良縁に巡り合えるように」と祈ればその願いがかなえられるといわれ、これを機にカップルができることもあったという。
10月30日に行われた「送り」では小島の青年団を中心に15人の男女が集まった。まずはお神酒を上げ、真夜中まで鍋を囲んでの宴会となった。小さい頃から知っている幼なじみが多く参加、兄弟でなくても『○○兄ちゃん、△△姉ちゃん』と親しみを込めて呼ぶ。会の途中から別集落に住む移住者も参加し、伝統行事を通して親睦を深めた。24時になると全員で「いってらっしゃい」と神様へ祈った。
小島神社は菅原道真をまつり、学問の神様としてあがめられてきた。集落の中心部に位置し、1月に行われる「大祭」の会場でもある。青年団長の岩川堅吾さんは「小学生のころは『頭がよくなる神社』と聞き、よくお参りに来ていた」と話す。
「小島は屋久島の特産品ポンカン、タンカンの栽培が盛ん。南部にあり、住みやすい地域。小島の魅力をたくさんの方に知ってもらうために、これからも団員と協力しさまざまなことに取り組んでいきたい」と笑顔を見せる。