
屋久島の伝統行事「岳参り」の記録映像上映会が2月17日、屋久島環境文化村センター(屋久島町宮之浦)で行われた。
「岳参り」は、春と秋の年2回、祈願と解願のために屋久島の各集落の代表者が信仰する山に登る伝統行事。太平洋戦争による人材不足や高度経済成長期の若年人口流出などにより、行事の途絶えた集落も多い中、宮之浦集落では2004年にこの行事が復活した。
上映会を企画した「宮之浦岳参り伝承会」では昨年、宮之浦集落の「岳参り」復活20年を記念して、海抜0メートルから九州最高峰1936メートルの宮之浦岳山頂まで往復約50キロを歩き通す、古式にのっとった「総歩き」を企画。6人の代表者が早朝4時に益救神社前にある権現浜を出発し、途中山で1泊。宮之浦岳の祠(ほこら)に祈りをささげて出発地点に戻る37時間の行程を27分の映像にまとめた。
宮之浦岳参り伝承会の渡邉剣真さんによると、上映会は3月1日、「屋久島ジェラートそらうみ」(屋久島町麦生)で行うほか、4月以降はウェブ公開も予定しているという。
映像制作は、屋久島公認ガイドでフォトグラファーの皆川直信さんが担当。伝承会会長の中川正二郎さんは「何度も一緒に岳参りに参加して、行程をよく分かっている皆川さんだからこそ撮れた映像」と話す。
映画製作を企画した伝承会の渡邉さんは「岳参りは山への感謝はもちろん、自分以外の人々ために登るという、普段と違う登山。世界に誇ることのできる伝統文化だと思う」と話す。
今年の岳参りは5月24日と9月27日を予定。宮之浦集落の住民から、志願者を募集している。