トカラ列島(鹿児島県十島村)の高速船「ななしま2」が1月14日、屋久島との臨時航路の運航を始めた。
屋久島と奄美大島の間に位置するトカラ列島には7つの有人島があり、最北の口之島は、天気が良ければ屋久島から肉眼で見ることができる。以前は、屋久島の北にある3島(竹島、硫黄島、黒島)と合わせて十島村(じっとうそん)を構成していたが、戦後、米軍統治下にあったトカラ列島が本土復帰して十島村(としまむら)となり、北の3島は三島村(みしまむら)となった。
十島村唯一の公共交通手段は、鹿児島と奄美大島の名瀬を結ぶ「フェリーとしま2」。昨年12月29日、航行中の火災により航行不能となり運航再開のめどが立っていない。一回り小さい三島村の「フェリーみしま」が代行運航しているが、少しでも多くの乗客を運べるよう、「ななしま2」も投入された。定員12人、最高速度は28ノットで、「としま2」「みしま」の約1.5倍。十島村の医療・行政業務に加え、チャーター船として観光にも使われてきた。
「ななしま2」の臨時航路の1つが、有人7島最南の宝島を出港して屋久島宮之浦港までを往復するもの。鹿児島に向かう十島村住民は、屋久島で高速船トッピーに乗り換える。十島村役場の担当者によると、口之島から鹿児島までの距離と比べると、屋久島で折り返すことで「ななしま2」を効率良く運用でき、より多くの島民を搬送できるという。屋久島までの料金は、「としま2」で鹿児島まで行くのと同じ。トッピーの料金は十島村が負担する。
屋久島の住民がトカラ列島に行くためにも利用できる。これまではいったん鹿児島に出て「としま2」に乗り換えて翌日に着いていたが、どの島にも1日で到着できる。ただし、同担当者によると、現在トカラ列島は物資不足で宿を見つけるのが難しいという。また運行ダイヤは人員・物資の輸送状況に応じて1週間程度ごとに見直すので、旅行計画を立てにくい。
乗船は電話(080-8820-0365)で先着順に受け付ける。料金は各島の十島村出張所で現金で支払う。運航に携わるのは船長の竹内巧さんで、乗船客確認や係留作業も1人でこなす。完全予約制なので乗船客のいない島には寄港しない。14日の第1便は満席で、予定より1時間以上早く屋久島に到着したという。