リゾートホテル「縄文の宿 まんてん」(屋久島町小瀬田)で1月9日、屋久島環境文化研修センター(屋久島町安房)のインストラクターが屋久島の魅力を宿泊客に伝える講話を行った。
屋久島の浜の砂(右)に触れてウミガメの産卵に適していることを納得する
講話のテーマは、「五感で感じる!世界遺産 屋久島の魅力」。この日の宿泊客を対象に夕食前の1時間、五感で屋久島の魅力を感じてもらおうと企画した。屋久島をより良く知ることで、宿泊客が再び島を訪れるきっかけになったり、旅行後に島の魅力を周囲に発信してくれたりすることを期待して行った。
会場となったホテルのロビーに敷かれている、屋久島の鳥瞰図(ちょうかんず)が織り込まれたカーペットや、壁に掲げてある巨大な森の写真が雰囲気を演出していた。参加無料だが、密を避けるため定員を10人に絞り、ソファをコの字に並べてゆったりと聴けるよう配慮した。
講師の渡邉卓実さんは「屋久島の昆虫ガイド」(屋久島環境文化財団発行)の共同編集を手掛けるなど昆虫のエキスパートだが、屋久島の自然全般についても豊富な知識を持っている。屋久島の概要から始め、島の魅力を1時間の講話にまとめた。説明の途中、随所に参加者の体験コーナーが用意され、水の話題では渡邉さんが山でくんできた屋久島の超軟水と市販の硬水とを飲み比べたり、島を構成する代表的な岩石をハンマーでたたいて音の違いを感じたり、樹齢1000年を超える屋久杉と通常の杉との質感や匂いを比べたりした。
ウミガメの産卵の話題では、屋久島の浜の砂を参加者が触り、大粒の花こう岩でできた砂が、産卵の穴を掘りやすく、新鮮な空気が卵に届き、卵からかえった子ガメが地表に出やすく、産卵に適していることを学んだ。ゴジラの大ファンという渡邉さんから、1996(平成8)年公開の映画「モスラ」で、幼虫が森林エネルギーを吸って「新生モスラ」となる場所として屋久島が登場するといった話題も提供された。
「まんてん」を経営するエーエフマネジメント(横浜市)の社長で、今回の講話を企画した計屋(はかりや)卓摩さんは「島の玄関口の一つ、屋久島空港の目の前にあるこのホテルを、屋久島の魅力を発信する拠点にできれば」と意気込む。