八幡小学校(屋久島町平内)の5年生が9月11日、自分たちが刈り取った稲を手作業で脱穀する体験をした。
学校の花壇で自分たちが育てた稲を刈り取り、稲架(はさ)と呼ばれる横木に掛けて1週間乾燥させたものを、千歯(せんば)と呼ばれる伝統農具と足踏み脱穀機を使って脱穀した。道具は、田植えから一貫して指導してきた屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦)の黒飛淳さんが、古民具などを展示する平内民具倉庫(屋久島町平内)から持ち込んだ。
千歯は、長さ20センチほどの歯をくしのように並べ、その間に乾燥した稲を挟んで引くことで穂先の籾(もみ)を落とす道具。元禄年間に発明され、それまで箸のような道具で行われていた脱穀作業の効率が飛躍的に向上したという。4本脚に歯を並べただけの素朴な作りで、動かないように足で押さえながら稲を引く。大人には簡単な作業だが小学生には難しく、体重の掛け方を工夫したり、一度に引く稲を減らしたりして作業を進めていた。
もう一方の足踏み脱穀機は、踏み板を踏むことで円筒状のドラムを回転させ、表面に付けた逆V字型の針金で籾を落とすもの。明治時代の発明だが今でも使われており、今回使用した機種も市販されている。高速で回転するドラムに稲を押し付けると一瞬にして籾が落ち、千歯こきに苦戦していた児童から歓声が沸いた。足踏みの上下運動をドラムの回転に変える仕組みだが、ドラムの回転が落ちると逆回転して稲を巻き込んでしまう。逆回転しないよう足に力を入れ過ぎて土踏まずが痛くなり、千歯こきに戻る児童もいた。巻き込んだ稲を取り除こうと児童がドラムに手を近づけないよう、指導する黒飛さんは細心の注意を払っていた。
脱穀機の作業が終わると、稲に残った籾を手で外したり、籾に交ざったわらくずを取り除いたりと、地道な作業が行われた。床に座っておしゃべりしながら作業する児童たちの姿も見られた。
黒飛さんによる一連の稲作指導は今回で終了する。学校では今後、稲作に携わる児童の親に精米を依頼し、家庭科の時間に食べるという。