屋久島の「久保養蜂園 屋久島ファーム」が間もなく、タンカンの蜂蜜採取を始める。
屋久島を代表する特産品・タンカンの花が3月下旬に開花したのを合図に、養蜂の最盛期が始まった。タンカンの開花時期は昨年と比較すると2週間ほど、過去5年で最も早かった。ミツバチの数を増やすために餌を与えて勢いをつける健勢(けんせい)は採蜜前の重要な作業で、通常は開花時期に合わせて行うが、今季はタイミングを図るのが難しかったという。
屋久島ファーム代表・久保太さんは「タンカンの単花蜜はかんきつ特有の爽やかな香りや甘みが特徴。タンカンの採蜜後は梅雨の前後にかけて、シャリンバイやカラスザンショウ、シイなどのさまざまな花から取れる百花(ひゃっか)蜜の生産に移行する。蜂蜜の糖度を測定しながら出来栄えを確認し、蜜を採取するタイミングを見極める」と話す。
「妻が島の食材を使った料理の仕事をしていた時に、屋久島産の蜂蜜と出合った。島のタンカンからは良質な蜜が取れるに違いないと感じた。耕作放棄地にもタンカンの花があると知り、活用しないのはもったいないと思った。2017年に一つの巣箱から始めて、すぐに養蜂にのめり込んだ」と振り返る。
「自然相手なので思うようにいかないことも多いが、仕事というより楽しんでやっている。ハチたちを観察していると8の字に踊ったり、お尻を振ってハチ同士でコミュニケーションを取ったりしている様子が見られ、愛着が湧く」とも。
現在は島内のカフェや土産物店で販売する。年内に通販サイトをオープン予定。