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ジェラート店で屋久島の森林保護訴えた映画上映 当時の保護活動が鮮明に

映画中で自然の素晴らしさを語る「山愛会」の青年

映画中で自然の素晴らしさを語る「山愛会」の青年

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 屋久島のジェラート専門店「そらうみ」(屋久島町麦生、TEL 080-1345-7063)で9月10日、島の森林保護を訴えるために製作された記録映画「屋久島からの報告」の上映会と当時の活動を振り返る講演会が行われた。

映画のタイトル画面

 「そらうみ」は今年3月から、店内に設置した100インチのスクリーンを使って定員18人の映画上映会「そらうみシアター」を不定期で開催している。ジャンルはコメディー、SF、ドキュメンタリーなどさまざまで、フェイスブックで上映案内を発信。代表の毛利哲(さとし)さんは「島には映画館がないので、小規模ながら映画鑑賞の機会を提供して皆さんに喜んでほしい」と話す。

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 映画「屋久島からの報告」は、屋久島の森林伐採を告発する目的で1978(昭和53)年に公開された記録映画。屋久島高校演劇部が演劇「ジョン・デンバーへの手紙」で題材にしたことから住民の関心が高まったが、実際に映画を観た人は少ない。そこで映画製作の原動力となった「屋久島の自然を記録する会」の会長でもあった大山勇作さんに打診し、今回の上映・講演会が実現した。

 映画は16ミリのフィルムに収められた約50分のカラー作品(上映にはDVDを使用)。切り倒される樹齢数千年の巨木、伐採によって丸裸になった山腹、林道の延伸によってさらに進む伐採作業など、屋久島での森林破壊の生々しい映像が収録されているが、それらは全体の一部に過ぎない。島の自然をさまざまな角度から紹介し、青年たちの目を通してその素晴らしさを伝える。その中で、森林伐採が島の人々の生活にどう関わってきたか、島の将来がどうなるのか、島民のインタビューを交えながら淡々と伝える。拳を振り上げて伐採反対を叫ぶ姿はない。米国のカントリー歌手ジョン・デンバーの名曲「太陽を背に受けて(Sunshine On My Shoulders)」が静かに流れて映画は終わる。

 上映後、客席を円座に並べ替え、大山さんが映画製作に至る経緯、撮影の苦労話、映画公開から世界自然遺産登録までの道のりなどについて講演。大山さんは「島民の主導で国や自治体を動かし自然保護を達成できるよう、政治的な活動を行う一方、世界中の人々に理解してもらえるよう映画作りに取り組んだ。この映画は、何をするべきかという方向性を示すものではなく、事実をあるがままに伝えて、考えてもらうためのもの」と話す。会場からの質問にも丁寧に対応し、1時間の講演予定を30分超過し、講演後も参加者数人と懇談を続けていた。

 「そらうみ」と大山さんとの橋渡しを行った村松佳子(けいこ)さんは「2年前に初めてこの映画を見た時は、声高に伐採反対を訴えていないので、これじゃ伝わらないと思ったが、自分で勉強し今日の大山さんの話を聞くと、屋久島を守りたい、未来に残したいという気持ちが強くなった。通常の反対運動と異なり、住民に草の根的に事実を伝え、島の気質とバランスを取りながら保護を訴えたことがよく理解できた」と話す。

 「屋久島ジェラートそらうみ」の営業時間は11時~17時15分。火曜~木曜定休。

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