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屋久島高校演劇部が自主公演 森林保護に立ち上がった若者たち描く

「この島に生まれる子どもたちのために」

「この島に生まれる子どもたちのために」

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 屋久島高校演劇部が公演「ジョン・デンバーへの手紙」を7月21日、屋久島離島開発総合センター(屋久島町宮之浦)で上演した。

山の神に杉伐採の許しを乞う江戸時代の住民たち

 昨年末に福岡県で行われた九州高校演劇研究大会で最優秀賞に選ばれた作品で、佐賀県で7月27日から行われる全国高等学校演劇大会で九州ブロック代表として上演する。大会を前に、ほぼ完成に近い演技を島内の人たちに披露した。

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 ジョン・デンバーは、1970年代に活躍した米国のシンガー・ソングライター。「故郷へかえりたい(カントリー・ロード)」や「太陽を背にうけて(Sunshine on My Shoulders)」などのヒット曲で知られ、早くから環境問題にも取り組んでいた。彼の曲を愛する一人の青年が、彼に手紙を書くシーンで舞台は始まる。屋久島の森を伐採から守るために製作しようとしている映画に、デンバーの曲を無償で使用する許可を得るための手紙。手紙には、江戸時代以降の伐採の歴史や、伐採反対に立ち上がった経緯など、背景が延々とつづられていく。それと並行して、江戸時代と明治時代の島民の状況が舞台で演じられる。

 青年の名前は永山耕作。屋久島在住の大山勇作さんがモデル。屋久島高校卒業後、多くの同級生が就職や進学で島外に出ていく中、生物が好きだった永山は実習助手として高校に残る。森林伐採の実態は里からは見えないが、山岳部顧問などの活動を通じて惨状を目の当たりにした彼は、同僚や生徒とともに森林を守る活動を始め、全国的に惨状を訴えるために約1時間のドキュメンタリー映画の製作に取り掛かる。多額の制作費を捻出するために、募金や、できてもいない映画のチケット前売りなどを行い、その過程で島内外の人たちの支援を得ていく。その様子が舞台でテンポ良く演じられる。

 完成した映画「屋久島からの報告」では、デンバーの曲をバックに、屋久島の豊かな自然と伐採されていく森林の生々しい様子が映し出されている。屋久島の自然を保護する住民運動の大きな力となったという。住民や生徒たちが「この島で生まれる子どものために。その子から生まれる、孫のために。ずっとずっとそうして続く、未来の子どもたちのために」と声を上げるシーンでは、観客席で感動のあまり涙する姿も見られた。

 舞台は、大山さんらの活動をモデルに、演劇部顧問の上田美和さんが創作した。上田さんは「社会的なテーマの中に人間の葛藤も描いた。テーマが屋久島だけの問題に見えるかもしれないが、地方vs都会という普遍的な問題を扱ったものと捉えていただけるとうれしい。観客には自分のふるさとの物語と重ねてもらいたい。27日の大会では、屋久島の生活の素朴さとともにこれらを伝えられればと考えている」と話す。

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