屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、TEL 0997-42-1900、略称「歴民館」)で7月31日、「~紙を漉(す)き、和紙をつくる~ ワークショップin歴民館」が開催された。
講師は、屋久島で和紙と和紙作りの研究をしている小林愼一さん。毎年この時期にワークショップを開いており、今回が5回目となる。場所は、歴民館に併設されている網代(あじろ)小屋。実際に使われていたものを歴民館の中庭に移設し、常設展示やイベント会場として使っている。
制作するのは、はがき大の和紙。2組のはがき大の木枠の間に目の細かい網を挟んだ手作りの道具を使う。あらかじめ用意された紙料(コウゾなどの原料から作った和紙の材料)に漬け、紙料をすくい上げて前後左右にゆすって平らにする。自分が欲しい厚さになるまでこの作業を繰り返す。はがき大の小さな和紙なので、初心者でも厚みにムラができにくいが、たとえムラがあっても味わいのある和紙になる。
この後、一般的な紙すきの工程では圧搾して水を搾り出すが、このワークショップではすぐに天日干しをする。すいた紙を木枠から外し、中庭に設置した天日台に並べる。まだ水分が多いので、スポンジで水を吸い取りながら慎重に作業する。小さな子どもには難しいので、歴民館のスタッフが手伝うことも。この時期の屋久島の日差しは強く、翌日には乾燥して和紙が完成する。参加者は都合のよい時に歴民館に立ち寄って自分の作品を持ち帰る。
和紙には、自分の好きなものをすき込んでよい。会場には、葉っぱや貝殻、フキなどの植物から採った繊維など、さまざまな素材が用意されている。おそらく常連なのだろう、すき込む素材を自分で持ち込む参加者もいた。はがきとして使うのでなければ、作品の厚みは自由。天日台には、何をすき込んだのか分からないポップな作品も並んでいた。
参加者が実際に作業する時間は、1枚当たり10分程度。ワークショップは2時間かけて行われたが、参加者は三々五々やって来ては、作品を天日に干して帰っていく。作業説明のための時間は設けられていないので、木枠を渡された参加者は、周囲の参加者の手元を見て理解する。困った参加者がいれば、小林さんがやって来て指導する。参加者には小学生連れの親子が目立ったが、気軽に参加できるためか、高齢者や若いカップルの姿も見られた。
小林さんは8月2日~17日、「漉場(すきば)工房」(屋久島町一湊)およびその周辺で本格的な紙すきワークショップを開催する。参加費は600円。