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屋久島の「劇団THE屋久座」第2回公演 廃村に向かう人々の思い描く

プロから初心者まで、12人の劇団員が好演

プロから初心者まで、12人の劇団員が好演

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 「劇団THE屋久座」が公演「みんなのうた(小杉谷三十年目の約束)」を7月5日~7日、屋久島離島開発総合センター(屋久島町宮之浦)で上演した。

劇中の会話には屋久島の方言も

 劇団は昨年2月に旗揚げ公演を行い、これが2回目の公演となる。屋久島出身の俳優で今回舞台監督を務めた松田悠さん以外は、約20人の出演者とスタッフの全員が屋久島在住。20代から70代までの職業も背景も異なる出演者たちが、今年5月から練習に励んできた。

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 2000(平成12)年に実際に開催されたイベント「行こうよ小杉谷ピクニック」を題材にしたフィクションを、劇団代表で出演者でもある松本淳子さんが脚本にまとめた。小杉谷は、縄文杉登山の出発点である荒川登山口から1時間余りの位置にある。かつては森林伐採の拠点として、最盛期には133世帯540人(近隣集落含む)が暮らす集落があり、小・中学校も設置されていた。しかし屋久島の森林保護が叫ばれる中、1967(昭和42)年に小杉谷の伐採作業は終了。1970(昭和45)年には小・中学校が閉鎖されて住民は山を下り、小杉谷は廃村となった。それから30年経った2000(平成12)年に、かつての住民ら約200人が集まって「行こうよ小杉谷ピクニック」が開かれたという。

 舞台は荒川登山口から始まる。登山バスが到着すると、参加者たちが次々と降りてくる。かつての伐採従事者やトロッコの運転手、島に残った住民たちの相談に乗る女性、島を離れた中学校卒業生、廃村後若くして亡くなった教諭の姉など老若男女さまざま。誰もが小杉谷に深い思いを抱いていて、小杉谷に着くまでの1時間余りの間、彼らの会話を通してそれらが伝わってくる。到着する直前、介護が必要だった老人が自力で橋を渡るシーンでは涙する観客も見られた。

 劇中では、小杉谷小・中学校の校歌が披露された。30年の間に忘れ去られてしまっていたが、山小屋に書かれた歌詞を見た登山者が、当時防災無線のアナウンサーをしていた松本さんに問い合わせたことから、小杉谷出張所にいた役場職員が録音テープを保管していたことが分かり、復元できた。「われら生まれて故郷を愛す この山この谷この川この水 豊かに厳しき故郷を愛す」と歌う。

 幕が下りると、出演者の情熱のこもった演技に惜しみない拍手が鳴り響いた。

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