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屋久島の「トシノカンサマ」 大みそかに泣きわめく子どもたちを元気付け

屋久島の「トシノカンサマ」 大みそかに泣きわめく子どもたちを元気付け

道端で子どものころに体験した地元民から「怖かった」と声が上がる

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 屋久島町宮之浦で昨年12月31日、伝統行事「トシノカンサマ」が行われた。

一斗缶を打ち鳴らす音が集落内に響く

 トシノカンサマは、山の上から人々の行いを眺めている神様が大みそかの夜に里に下り、子どものいる家々を訪ねて日頃の悪い行いを反省するよう叱るというもの。神様は鬼のような顔に白い衣装をまとい、手に鎌を持つ。背中に言うことをきかない子どもを山に連れて帰るための籠を背負う。神様と一行は「悪い子はいねえか」と大声で叫び、一斗缶を棒でたたいて大きな音を鳴らしながら町中を歩く。その形相や声色から、神様が訪れた家の子どもたちは大声で泣きわめく。

 宮之浦で生まれ育った田中宏樹さんは子どものころ、トシノカンサマを体験。小学校中学年ごろまで毎年神様が来たという。2013年ごろから神様側として行事に参加。「子どものころ、おばあちゃんから『悪いことをすると神様が叱りに来る』と言われた。普段は知らんぷりしていたが、12月だけは良い子になった。大みそかの夜は怖くてご飯が食べられなかった」と笑顔で振り返る。行事中は大声で神様をサポートし、「自分と同じ体験を今の子どもたちにもさせるために、なるべく怖がらせるようにしている」という。

 日本各地に似た伝統行事があり、最も有名なのが秋田県の「ナマハゲ」。鹿児島県の甑島や種子島にも「トシトイドン」「トシドン」と呼ばれる似た行事がある。屋久島の「トシノカンサマ」が行われるのは宮之浦だけ。何十年も続く伝統行事だが、子どもの減少や「子どもに怖い思いをさせたくない」との理由から依頼する家庭は減少傾向という。それでも伝統を継承したいと宮之浦青年団員が中心となり行っている。

 神様は泣きわめく子どもたちに「もう悪いことをしないように」と言い聞かせ、最後に生命力の象徴とされる縁起物の「歳餅」を与えて去っていった。

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