10年間を予定する長期アートプロジェクト「しらこがえり」が、5年目の夏を迎えた。
沖縄県那覇市を拠点に活動する屋久島出身の美術家、手塚太加丸(たかまる)さんが、自身の故郷である「白川(しらこ)山」(屋久島町一湊)の10年後を見据え、2013年から始めた同プロジェクト。
手塚さんは、帰省する夏の期間を中心に、竹で「巣」を作りながら生活したり、白川山の歴史について聞き取り調査を行ったりしているほか、記録映像を上映する報告会を全国各地で開催したりしている。一緒に来島した手塚さんの友人もその都度、プロジェクトのメンバーとして関わる。
今年は「/jama/(ヤマ)」をテーマに、彫刻家の鈴木操さんやサウンド・アーティストの大和田俊さん、パフォーマーの花崎草さん、学芸員の長谷川新さんら9人が参加。一湊岳登山などを通じ、「山」を観客に見立てた展覧会を開催した。
「このプロジェクトで、中学を卒業して地元を離れた時の感覚や、当時見ていたものと今見えるものの違いについて深く考えてみたかった」と手塚さん。
白川山は、一湊川上流の森の中の集落。詩人の山尾三省さんが暮らした場所として知られ、山尾さんを慕う人々が移り住み、自然に即した暮らしを送っている。