原集落区長の日高さん(右)と藤本さん
原集落は屋久島の南部に位置する。「時計でいうと5時30分の位置」と日高さん。気候が穏やかで、ポンカンやタンカンを中心とした農業が盛ん。(ポンカン・タンカンはかんきつ類の一種で、屋久島の特産品。)移住者も多く、約230世帯あるうちの80世帯以上をIターンが占める。
日高さんは区長になる前、行政職員を30年、町議会議員を3期務めた。「山に行きたいから」と議員を辞職し、現在はガイド業も営んでいる。
自然遺産登録前の山について、「以前は、山屋、つまり純粋に登山を楽しむ人の山だった」と日高さん。ヒマラヤアタックの最終調整に使う人もいたという。その当時、「山屋の世界では『腐るものは埋める』ということが普通だった。しかし表土がなく雨の多い屋久島では、埋めたものがすぐ露出してしまう。『屋久島の山は日本一汚い』といわれたこともある」と振り返る。
自然遺産登録後「パークボランティアの会」を立ち上げ初代会長に就任。会費制だったため、「1,000円払ってゴミを拾おう」をキャッチコピーに清掃に取り組んだ。「ガイドをはじめ、たくさんの方の協力を得て、今では登山道でゴミを見つけることが難しいくらいきれいになった」と日高さん。
日高さんは「屋久島が最も魅力を発揮するのは冬」と話す。「原周辺は冬の寒い朝でも9度くらい、日中は20度と暖かい。海では熱帯魚やサンゴ、山に登れば氷点下。12月から山菜が採れ、里に下りればポンカン・タンカンがある。1日で四季を堪能できる島はほかにない」と力を込める。
今後の原集落について、「果樹農家の後継者や高齢化が深刻な問題。観光客や3次産業の方の力を借りて、1次・2次産業を活気づけたい。冬の魅力も利用し、原集落のいろいろな面を知ってもらいたい」と締めくくった。
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