屋久島介護支援専門員協議会が島外講師を招いてケアマネジャーの役割を考える講演会を2月14日、安房公民館(屋久島町安房)で開催した。
同協議会は、屋久島のケアマネジャー(介護支援専門員)によって構成され、現在正会員が21人、準会員(ケアマネジャーの資格を持つ管理者など)が4人。ケアマネジャーは、要介護や要支援の高齢者が適切なサービス(訪問介護、デイサービスなど)を受けられるように計画(ケアプラン)を立て、サービス事業者との調整をする。地域包括支援センターや介護支援事業所などに所属しており、協議会が職場を横断する研修や情報共有の場を提供している。研修会は年3、4回開き、個々の事例に対するプランの見直しを行うことが多い。
講演に先立って、協議会会長の末原ゆかりさんが「現在、行政と共に2024年度以降3年間の介護計画を策定している。計画案が屋久島町の介護の実態にあっているかどうか、私たちケアマネジャーの現場の声が盛り込まれているかどうか目を通してほしい。また今後、現場の声を盛り込むためにはどうすれば良いかみんなで考えていきたい。そんなことも考えながら、今日の研修を受けたい」とあいさつした。
今回の講演のテーマは「地域包括ケアシステムの中のケアマネの役割」。講師は、特別養護老人ホーム鹿屋長寿園の統括本部長と施設長を兼務する林田貴久さん。鹿児島県老人福祉協議会の研修広報委員長として長年高齢者の福祉に携わってきた。講演の冒頭、「私は仕事を楽にしたい」と訴え、介護の現実を共有して新しい介護の姿について一緒に考えようと提案した。現在無料のケアプラン作成の有料化、介護と医療の一体化といった介護制度の課題、介護業界が抱える職員の高齢化や人材不足など、不安定要素を具体例に交えながら紹介した。
「ケアマネジャーが抱える介護のさまざまな問題は、行政、役場、業界団体に訴えても改善されない。自分の事業所のサービスの様子を動画に撮り、支援センターや病院のソーシャルワーカーやケアマネジャーに示すほうが有意義」と林田さん。「自分たちが自立すべき時」と力説した。
会場には協議会のケアマネジャーのほか、老人ホームやデイサービス、医療機関、役場などから合計40人ほどが集まった。ケアマネジャーの一人は「自分たちが普段から感じている問題点を挙げてくれ、講演会を開いた価値があった」と感想を述べた。末原さんは「介護の問題は、全ての人が避けて通れないテーマ。他人事と思わず現状に目を向けて欲しい」と話した。