LGBTをテーマにした人権教育研修会が5月31日、屋久島離島開発総合センター(屋久島町宮之浦)で開催された。
屋久島町では現在、パートナーシップ宣誓制度導入を検討。同制度は、同性同士の婚姻が法的に認められていない日本で、自治体が独自にLGBTカップルに対して「結婚に相当する関係」であることを証明し、さまざまな行政サービスや社会的配慮を受けやすくする制度で、鹿児島県では鹿児島市と指宿市が導入している。屋久島町では2021年の町議会で提出された請願を受け、対象となる行政サービスを精査している段階で、導入に向けて町民の意識向上を図ろうと研修会を開催した。
講演に先立って教育委員長の塩川文博さんが、新型コロナウイルス感染症の濃厚接触者になったために自宅待機していた小学生が学校に出たときクラスメートから「おかえり」と温かく迎えられた話を紹介し、「正しい知識、正しい判断で行動し、差別のない明るい社会を築こう」とあいさつした。
続いて、鹿児島県男女共同参画局の常深透さんが、「誰もが幸せに生きるために~認め合い、支え合う社会へ~」と題して講演した。クイズ、童話、最近の事件などを挙げて人権意識全般について分かりやすく解説した後、性的指向・性自認についての基本的な考え方に言及した。「性の在り方はさまざまで、誰もが多様な性の当事者である」「性というものは、生物学的な性(戸籍の性)、性自認、性的指向、性表現(見た目、しぐさ)といった要素の組み合わせで定義される」「LGBTが性的少数者の総称であるのに対して、性的指向(Sexual Orientation)と性自認(Gender Identity)の頭文字をとったSOGI(ソギまたはソジ)はすべての人が持っている属性」などと解説した。
講演では、鹿児島市などのパートナーシップ宣誓制度と、昨年度の人権作文コンテストで最優秀賞を受賞した小学2年生の作文が紹介された。作文は、髪を伸ばしている「僕」に友人が「どうして?」と聞く。「好きな髪形や洋服に男も女も関係ない、ということをみんなで考えてほしい」と訴える。
研修会には、小中高の教職員、PTA関係者、社会教育委員など教育関係者に加え、女性団体、老人クラブ、集落区長、人権擁護委員など町内の110人が参加して熱心に聴講していた。