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屋久島で無農薬・有機栽培のコーヒー収穫 新鮮な生豆を自家焙煎し提供

コーヒー豆を収穫する敷根さん

コーヒー豆を収穫する敷根さん

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 屋久島町平内のコーヒー農園で、2017(平成29)年に植えられたコーヒーの苗が現在、収穫時期を迎えている。

枝の節々に見える花芽が夏に花となり、やがて実を結ぶ

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 同地区で農業を営む敷根茂俊さんが、屋久島で無農薬・有機栽培のコーヒーを作ろうと、沖永良部島から取り寄せたアラビカ種の苗150本を約15アールの畑に植えた。知人に相談したり、インターネットで情報収集したりして育て、昨年夏にはジャスミンのような香りの真っ白な花が咲いた。今年1月、屋久島にも大寒波が到来し多くの実が落ちたが、生き残った実が赤く熟し、4月から少しずつ収穫できるようになった。

 完熟した実は甘くて柔らかく、サクランボのように見えることからコーヒーチェリーと呼ばれる。果肉を食べると中から薄緑の種子(コーヒー豆)が現れる。敷根さんは実の柔らかさを指で確認しながら、1粒ずつ丁寧に収穫し、2、3時間水に浸けてから種子を分離。2、3週間かけて乾燥させ、薄皮を取り除いて生豆にする。一斉には収穫できないので、一連の作業を4月から5月にかけて何度も繰り返す。

 生豆を自家焙煎(ばいせん)したものは、妻のいずみさんが営業する「おうちごはん オアシス」で提供している。食事ランチと喫茶の店で、丸太を使った山小屋風の店舗。ウッドデッキでも食事ができる。コーヒー豆の収穫に合わせるように、今年2月、現在の場所に移転した。

 アラビカ種の豆は味が良く高品質で、国内で提供されるコーヒーのほとんどがアラビカ種だという。その半面、アラビカ種は栽培条件が厳しく手間がかかり、病気にも弱い。敷根さんは島内の牧場から入手した堆肥と有機栽培用の鶏糞を使い、カイガラムシなどの害虫が付いた時は歯ブラシでそぎ落とした。幸いこれまで病気にはかかっていないが、テッポウムシ(カミキリムシの幼虫)が入った時は木を切断し、苗自らの生命力で再生させた。強風に弱いので暴風ネットを張り、長時間の直射日光を避けるために日よけも使う。

 1本の木から収穫できるコーヒーチェリーは2キロほど。これを生豆にして焙煎すると、200グラムにもならない。敷根さんは「農業は作る過程が楽しい。この豆でコーヒーをいれたらどうなるかを想像しながら作業している」と話す。

 オアシスの営業時間は11時30分~17時。月曜・火曜定休。敷根さんが育てた「屋久島産コーヒー」は850円、食事と一緒に頼むと700円。

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