「屋久島ベリーガーデン」(屋久島町原)が5月8日、園内の一般公開を始めた。
ガーデンを開いたのは、高校の教員をしていた新實(にいのみ)ゆりさん。「暖かい屋久島で果樹や草花を育てたい」と2016(平成28)年に移住し、島南部のモッチョム岳の麓に広がる約5000坪(1.6ヘクタール)の果樹園跡地を購入した。斜面の上には巨岩があり、その周りにもたくさんの岩が転がっていたが、重機を使ってロックガーデンのように改造。岩の合間に植物を植えていった。以前は果樹園だったこともあり、土壌は良好で日当たりも良いが、夏場は雑草に悩まされた。
「どうせ植えるなら珍しい品種を」と、ハワイ、タイ、エクアドルなどから種子を輸入した。「東南アジア原産よりも南米原産の品種の方が屋久島の気候には適しているようだ」と新實さん。商習慣の違いや検疫でのトラブルを乗り越え、現在ベリー種だけで30種以上が育っている。
園内の工作物は、地元の井上直胤(なおたね)さんが担当しており、石積みや木道、案内板などのほとんどを井上さんが1人で作った。昨年は、巨岩の上に八角形のガゼボ(洋風あずま屋)を、巨木横にはツリーハウス仕立ての物見台を設置。ガゼボと物見台からは、ガーデンが一望できる。
一般公開に先立ち、巨岩の上から40メートルほどのワイヤーを伝って滑り降りるジップラインも製作した。スピードが出過ぎないよう、利用者のハーネスに結んだロープを井上さんが引っ張って調節する。降りた利用者を引っ張り上げるのも体格の良い井上さんの仕事だが、「1日に何十人も利用されると体が持たない」と笑う。
将来的にはカフェを併設したいと、昨年海が見える隣接地も購入した。前準備として、大型連休中に母屋のテラスを使ったガーデンカフェを開いた。価格はコーヒーとスイーツで500円。期間中には島民約100人が訪問した。新實さんは「今後もガーデンカフェを開いて、将来のカフェの構想を固めたい」と話す。
開園時間は10時30分~16時30分。入り口の鐘を鳴らし、新實さんが園内にいることを確認してから入園してほしいとのこと。