八幡小学校(屋久島町平内)の児童が9月9日、自分たちが育てた稲を手作業で刈り取る体験をした。
八幡小学校での稲刈り体験は今年で2年目。屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、以下歴民館)に勤め、自身も稲作をしている黒飛淳さんが、子どもたちに米作りを体験してもらおうと始めた。昨年は5年生が、田植え、雑草除去、稲刈り、脱穀という一連の米作り作業を体験した。近代的な機械ではなく、田車や千歯などの伝統的な農具を使い、米作りの苦労も経験した。
昨年収穫した米の一部は翌年の種もみとして保存し、残りは機械で精米した。幅1.5メートル、長さ8メートルほどの小さな花壇を使った稲作だったが、好天に恵まれ、台風の直撃もなかったことから、約3.5キログラムの白米が得られ、5年生が家庭科の時間に炊いて試食した。「コシヒカリ」の新米で、児童たちと一緒に試食した黒飛さんは「味は上々だった」という。
今年は、昨年体験した今の6年生が中心となり、保存しておいた種もみを使って苗作りから始め、できるだけ黒飛さんらの助けを借りないで自分たちで稲作を行った。必要に応じて、歴民館が管理する平内民具倉庫(平内)から伝統農具を借り出し、昨年の経験を思い出しながら作業した。
6年生から米作りの方法を引き継ぐために、5年生も参加した。6年生は昨年経験しただけあって、のこぎり鎌をうまく使いこなし、鎌を使ったことがない5年生をマンツーマンで指導して、400株あった稲は30分ほどで刈り取りが終わった。
刈り取った稲はわらで束ねて稲架(はさ)と呼ばれる横木に掛ける。稲を束ねるには、わらを一周させて稲を3回ほど縦に回転しわらをねじる。この動作が小学生にとっては難しく、昨年はわらと稲を握ったまま考え込んでいる児童もいたが、今年は最初てこずっていた5年生も、6年生の手元を見ながら学習し、稲架はみるみるうちに刈り取った稲で埋まっていった。