屋久島在住の写真家、山下大明(ひろあき)さんが発見した植物が今月、新種のラン「タブガワムヨウラン」として植物分類学の国際誌「Phytokeys」に掲載された。
高さ20~40センチのタブガワムヨウラン ©Hiroaki Yamashita
島の東、椨(たぶ)川の森に生息する高さ20~40センチのランで、7~8月に約2センチの白い花を5個程度つける。
山下さんの知らせを受け、植物を精査し論文を執筆したのは、神戸大学の末次健司特命講師。末次さんは2015年に新種「ヤクシマソウ」を発見し、山下さんは2007年に新種「ヤクノヒナホシ」を発見している。いずれも150年以上、人の手の入っていない低地照葉樹林で育まれる菌従属栄養植物で、光合成をせず菌類の菌糸を分解して栄養を得ている植物。同じエリアでは絶滅危惧植物も多数確認されている。
「豊かな自然が残されていると思われがちな島だが、『古い照葉樹の森』は年々少なくなっている。これらの発見が、照葉樹林の魅力に目を向けるきっかけになってくれれば」と山下さん。
11月27日に屋久島町総合センター(屋久島町安房)で開催される「第4回 屋久島学ソサエティ」では、「屋久島低地照葉樹林の多様性とその保全」と題し、山下さんと末次さんらのテーマセッションが予定されている。