八幡小学校(屋久島町平内)5年生が6月18日、田車などの古民具を使う田んぼの手入れを体験した。
体験を指導したのは、屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、以下歴民館)に勤める黒飛淳さん。歴民館が管理する平内民具倉庫(平内)には、島民が寄贈したしょいこや石臼などの古い民具が収蔵されており、黒飛さんは、これらを活用して屋久島の伝統的な暮らしを子どもたちに伝えようと取り組んでいる。
民具倉庫の近くにある八幡小学校では、空いていた幅1.5メートル、長さ8メートルほどの花壇を耕し、今月初めに5年生が田植えを行った。土が固くなり雑草も生えてきたことから、時期的には少し早いが、民具倉庫の田車と雁爪(がんづめ)を使って手入れしてもらうことになった。
5年生10人が半ズボンの体操服にサンダル姿で花壇に集合し、農具の説明を受けた。田車は、明治時代から使われていた稲作用の農具で、長い柄の先に形状の異なる爪を持つ2本の爪車が着き、車を前後に動かしながら苗の間を進むと、土起こしと除草を同時に行ってくれる。田車の以前から使われていた雁爪は、短い柄の先に数本の爪が着いた簡単なもの。田車の方がはるかに効率が良く、腰への負担も少ない。
黒飛さんが農具の使い方を実演した後、児童らが交代で農具を体験した。小学生にとって田車は重い道具で、最初は力が入らなかったものの、何巡かするうちにコツがつかめ、バランス良く耕せるようになった。初めのうちは田んぼの泥を避けるように花壇の縁から手を伸ばしていた児童らだったが、そのうちに全員がサンダルを脱いで泥の中をはだしで歩き回り、耕すことで土が軟らかくなっていく様子を体感していた。
黒飛さんは「次は刈り取った稲穂を、昔ながらの方法で脱穀し、おいしいおにぎりにしたい」と話していた。
平内民具倉庫の公開日は、毎月第2土曜、日曜。入館無料。問い合わせは歴民館まで。