屋久島の「春牧里めぐりの会」が編著した「屋久島 春牧里めぐり里語り読本」が2月15日、南方新社より出版された。
春牧集落は島の南東に位置し、人口約900人と島内24集落で3番目に多い。縄文、弥生期の石器や土器が発掘されており、古代から山と海の幸に恵まれた生活に便利な地であったと考えられる。本書は2017(平成29)年に発足した作成委員会が、先人から伝わる民話や体験談、古文書や郷土誌などの文献を基に著作し、歴史、自然、生活文化、産業・施設の4編に分けて春牧集落を紹介する。
春牧福祉館の裏にある盛久神社の境内に、絶滅危惧種であるヤクタネゴヨウの立派な木があったことや、枯れたヤクタネゴヨウは壺となって春牧福祉館に保存されていることなどをはじめ、春牧の運動会の伝統競技「山の大将」はグラウンドに立てた竹登りのリレーで、竹に登れるようになれば一人前の春牧人になれることも紹介。集落のゆるキャラ・とびまるくんの誕生秘話など、島民も知らないエピソードが盛り込まれているという。
作成委員長・編集委員の市川聡さんは「先人の話を聞き記録にとどめる作業は、とてもエキサイティングで楽しかった。春牧の方だけではなく、多くの島民にとっても、里にまつわる興味深い話が満載。ぜひこの本と『屋久島里の花ハンドブック』を片手に、春牧の里をめぐってもらえるとうれしい。古い話には記憶違いや勘違いもあるかもしれないが、こんな考えや聞き伝えもあったんだという気持ちで楽しんでもらえたら」と話す。
価格は1,100円。泊書店、YNACミュージアム、春牧福祉館内区事務所、屋久杉自然館で購入できる。尾之間図書館、宮之浦図書館でも閲覧可能。