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屋久杉自然館で小杉谷展始まる 閉山50周年を記念して

小杉谷展のために製作された小杉谷中心部のジオラマ

小杉谷展のために製作された小杉谷中心部のジオラマ

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 小杉谷閉山50周年を記念して「小杉谷・石塚 -森と人々の記憶-」展が現在、屋久杉自然館(屋久島町安房、TEL 0997-46-3113)で開催されている。

展示会場の一部。左のガラス台にジオラマを展示

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 小杉谷はかつて森林伐採の拠点となった集落で、近隣の石塚集落などを含むと最盛期には133世帯540人が暮らし、小・中学校や郵便局も設置されていた。しかし屋久島の森林保護が叫ばれる中、1967(昭和42)年に小杉谷を拠点とする伐採作業は終了し、1970(昭和45)年に閉山した。

 小杉谷展は往時の山の仕事や生活を振り返り、小杉谷の意義とそれが果たした役割を伝えるもので、半世紀前に山を下りた住民たちの思いも紹介する。小杉谷の歩み、森林軌道、山の仕事、山の学校、閉山後の人々などのテーマで写真や図表、メッセージなどを展示する。学校で使われ今も演奏可能なオルガンや共同浴場の浴槽に漬けて湯を沸かした巨大な電熱器など、時代を感じる品々が展示されている。

 森林軌道のコーナーでは、伐採した丸太を搬出したトロッコの仕組みを詳しく説明する。屋久島のトロッコはブレーキ操作だけで山を下りるが、ブレーキはヤマグルマの角材を車輪と線路の両方に押し当てる簡単なもの。角材の間に花こう岩を埋め込んで線路との摩擦を増やす方式が採用され「小杉谷方式」と呼ばれた。自然館の玄関前には実物のトロッコが展示され、ブレーキの仕組みが実感できる。

 展示の目玉は、このために製作したジオラマ。食卓ほどのスペースに150分の1のスケールで小杉谷中心部を再現した。学校の運動場を中心に、森の中に点在する建物や線路が、当時の空中写真を基に配置されている。自然館のクラフト・インストラクターを務める小林諭史さんが約3週間かけて製作した。建物の出っ張り具合など、写真で分からない細部は、自然館館長で石塚集落出身の佐々彰總(しょうそう)さんに確認した。「リアリティーにこだわるより、ニコッとできるよう工夫した」と小林さん。桜の咲く校庭では子どもたちが野球やバレーボールを楽しみ、郵便局の前には懐かしい赤いポストが立っている。

 小開館時間は9時~17時。入館料は大人=600円、高校・大学生=400円、小・中学生=300円。島民は無料。来年3月21日まで。

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