屋久島環境文化村センター(屋久島町宮之浦)で2月1日、ドキュメンタリー映画「津軽のカマリ」の上映会が行われた。
「カマリ」は津軽の方言で匂いの意味。映画は津軽三味線の独奏という芸域を切り開いた高橋竹山(ちくざん)の演奏と語りを軸に、弟子たちの言葉を通して竹山の生き様を描き、竹山が生きてきた津軽の生活や文化も伝えている。竹山は約20年前に87歳で亡くなっており、映画の中には生前の映像で登場する。「津軽三味線の糸は絹、皮は犬、バチは亀、弾き手は人。みんな生き物だ」と語る竹山。竹山の演奏に加え、2代目を襲名した女性による最近の演奏が映画を盛り上げる。
監督の大西功一さんは、2011(平成23)年に完成した「スケッチ・オブ・ミャーク」でロカルノ国際映画祭(スイス)の「審査員スペシャルメンション」を受けた。沖縄・宮古島の古謡に迫るドキュメンタリー映画で、屋久島では2015(平成27)年の屋久島学ソサエティ大会で上映され大きな反響を呼んだ。屋久島の古謡「まつばんだ」にも興味を持っていた大西さんは、昨年9月に北海道・函館を出発した7カ月に及ぶ全国キャラバン上映会の上映会場の一つに屋久島を選んだ。
上映後、大西さんのトークショーが行われ、司会の安部心也さんの質問に答える形で製作や津軽三味線にまつわる興味深い話題が紹介された。会場から次作を尋ねられた大西さんは「今は自分の中で盛り上がっているものがない。全国キャラバンを終えたら、北海道で大豆の種まきをするつもり」と答えた。トークの後、「まつばんだ受け継ぎ隊」の4人が安部さんによる伝統楽器ゴッタンの伴奏で、古謡「まつばんだ」を歌唱した。
上映会は、翌日2日に屋久島環境文化研修センター(屋久島町安房)でも行われた。大西さんの全国キャラバンは今後、一度九州に戻った後、沖縄で折り返し、日本海側を中心に北上して最終地点青森に向かう。