NTT西日本が現在、屋久島における光回線の敷設工事を進めている。
屋久島の7つの電話交換局のうち、屋久島(宮之浦)、小瀬田、安房、尾之間の4つの交換局のサービスエリアが本年度の対象。10月にスタートしており、これらの地域では光ケーブルの架線工事をあちこちで見掛けるようになった。本土との通信は、固定電話回線で使う既設の海底ケーブルを利用するので、来年度早々にも光回線を使った高速通信サービスが始まる。残る永田、一湊、栗生各局のサービスエリアについは、来年度の工事を予定している。
離島での高速通信網整備は、採算面から通信業者単独の実施は難しく、自治体等が回線の敷設・維持を行い、通信業者はサービスだけを提供する「公設民営」方式が採られることが多い。これに対して屋久島は「民設民営」方式で、回線の敷設・維持も業者が行うが、敷設費用の約半分を町が負担し、残りを国の「高度無線環境整備推進事業」の補助金で賄う。この方式を採ることで町は維持管理費を負担する必要がなくなり、利用者の初期費用や月額料金は、本土と同じになる。役場によると、本年度の町の負担金は2億5,000万円を見込んでいる。
2017(平成29)年に町が実施したアンケートでは、回答者350人のうち75%がADSLまたはスマートフォンでインターネットを利用し、回答者全体の85%が速度や料金の面で現状の情報環境に不満を持っていた。これを受けて、町は本年度の予算に負担金を計上し、5月に提案のあった2社のうちNTT西日本の提案を採用した。その後NTT西日本が国への補助金申請を行い、9月末の交付決定を待って工事に着工した。
NTT西日本の担当者は「鹿児島県の離島には他社がサービスを提供している所もあり、当社で完全に把握している訳ではないが、光回線の敷設を始めた自治体は屋久島町が最後ではないか」と話す。「神秘の島」にもやっと光が差してきた。