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「明治期の屋久島の医師たち」勉強会 島在住の医師が古文書ひもとき解説

資料を示しながら講義する藤村さん

資料を示しながら講義する藤村さん

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 屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、TEL 0997-42-1900、略称「歴民館」)で9月20日、明治期の屋久島の医師に関する勉強会が行われた。

配布された古文書とそのワープロ文書

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 講師の藤村憲治さんは屋久島生まれの医師。鹿児島の病院に勤めた後、中間地区に残る古文書を研究するため、隣接する栗生地区の診療所に着任。以来、「栗生診療所を中心にした医療事情」を研究している。

 藤村さんの研究によると、明治時代に少なくとも26人の医師が屋久島に在籍。会場でその一覧表が配布された。医師制度が目まぐるしく変化した時代で、医学校卒業生や医師試験合格者もいれば、診療地域を限定された「限定開業医」もいた。明治維新で生活に窮した士族や西南戦争後に官軍に追われた士族もいたとみられる。小学校の教員を兼務した者も少なくない。

 当日配布された古文書は、患者の死亡届を提出するよう求めた1876(明治9)年の鹿児島県の通達と、医師が連名で住民に宛てた1887(明治20)年の要望書。要望書は診察代や薬代の支払い方法を具体的に示したもので、現代と異なり蔑視される傾向にあった医者たちが、治療費などを回収できるよう訴えたもの。藤村さんが古文書を読み上げて解説し、古文書に詳しい鎌田道隆さんが適宜補足説明を行った。

 受講者は14人。事前に用意した12人分の座席では足りず、補助席を設けた。会場には口永良部島の研究者や、医師一覧に親戚の名前があるという住民も参加して情報交換を行った。

 この勉強会は、歴民館で開催されている全6回の「古文書に親しむ集い」の一環で、次回10月18日が最終回。参加無料。

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