屋久島の春の風物詩、ヤマザクラが見頃を迎えている。
屋久島には1月中旬に咲き始めるカンヒザクラ、2月下旬から里の一部に咲くソメイヨシノ、3月上旬から山肌を彩るヤマザクラなどの桜が自生しており、開花とともに季節の訪れを告げる。中でも3月下旬から4月中旬、白谷雲水峡の太鼓岩は人気の花見スポット。九州最高峰の宮之浦岳など島の名山を背景に、眼下に広がるヤマザクラと新緑の景色は、それを目的に島を訪れる人もいるほど。
ヤマザクラは標高が低い所から咲き始め、桜前線は約1カ月かけて徐々に標高1000メートルほどまで上昇する。その間は白谷雲水峡線やヤクスギランド線などの道路沿いで、花見を楽しむことができる。宮之浦や志戸子などの集落から山を見渡すと、緑の中が所々ピンクに色づいており、ヤマザクラが咲いているのが分かる。
屋久島アウトドアガイド島結の代表・笹川健一さんは「ヤマザクラはソメイヨシノと異なり、開花の時に若葉が開くのが特徴。今年は暖冬だったが、3月に気温が下がった日もあったため、例年と比べてまばらに開花している。縄文杉登山道のトロッコ道など、山間部も一部開花している。強風や大雨の日がなければ、見頃は長くなりそう」と話す。
「ヤマザクラが終わっても、しばらくはヤクシマオナガカエデの新緑がきれいなので、新緑の美しさを味わうだけでも春を感じられる」と見どころを伝える。