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屋久島の「えびす祭り」 自然への感謝と畏敬の念込め祈りささげる

祈りをささげる漁師たち

祈りをささげる漁師たち

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 屋久島町の安房漁港で1月14日、伝統行事「えびす祭り」が行われた。

浜えびすに向かって祝詞(のりと)を上げる宮司

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 「えびす祭り」は航海の安全と大漁を祈願する神事。自然への感謝と畏敬の念を込め、祈りをささげるえびす信仰は、屋久島に住む人々の間で伝統文化として受け継がれている。

 天候に恵まれたこの日は、青空の下、漁師や漁業関係者ら約20人が漁港に集まり、宮司とともにえびす像に向かい祈りをささげた。神事の後は安房公民館で親睦会が開かれ、料理や酒が並ぶ会場には漁師の家族たちも集まってにぎわいを見せた。

 屋久島のえびす神は豊漁の神として港に祭られる「浜えびす」のほかに、豊作や豊穣(ほうじょう)の神として里に祭られる「村えびす」「町えびす」などがある。以前は1月10日に祭りを行ったため、「十日えびす」とも呼ばれる。「浜えびす」は各港の海が見える所に祭られており、それぞれ素材や色合い、表情などが異なる。

 安房船主会会長の川東守昭さんは「昔はトビウオが大漁だと、船の上から雄と雌のトビウオを海に向かって投げ、えびす神にささげた。えびす像は安房漁協、如竹(じょちく)神社、山の中と3カ所あった」と話す。

 安房漁協のえびす像は金属製。ふくよかな体で、左肩から地面に届くほど大きなタイをつり下げ、右手を上げニッコリと笑っている。安房漁協の対岸、安房南港にも木製のえびす像があるが、朽ちていて表情は確認できない。そのほかにも盗難や火災などの被害により失われたえびす像があり、いくつも作り直されているという。

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