屋久島在住の小西祐伸さんが今年5月に捕獲したヤマコホラヒメグモが8月11日、「正基準標本」として国立科学博物館に収蔵されることが分かった。
小西さんは、屋久島で動植物研究を行う「屋久島環境文化センター」の元インストラクター。同クモは屋久島空港近くの道路脇で捕獲し、専門家に鑑定を依頼したところ、ヤマコホラヒメグモのオスと判明。その後、東京都立大学のフランチェスコ・バラリン特任助教と江口克之准教授が、8月11日発行の国際学術雑誌 「Zookeys(ズーキース)」に発表した論文の中で同クモを紹介した。
小西さんによると、同論文では、屋久島を含む南西諸島で発見したホラヒメグモ科のクモ5種はいずれも南西諸島の固有種で、「ヤマコホラヒメグモは屋久島だけで生息が確認されている新種」との記述のほか、小西さんが屋久島町小瀬田で捕獲したクモを、学名を定義する世界でただ一つの標本である「正基準標本(ホロタイプ)とする」との記述、島内で捕獲された他の6個体のうち1匹は小西さんが今年2月に荒川登山口近くのジトンジ岳で捕獲したメスで、脚が欠損していた個体だったことも確認できるという。
小西さんは「実物はかなり小さく、脚を除くと体長は2ミリほど。正直言って、野外では何か分からず採集している。専門家の鑑定が必要な場合はアルコール固定して送る。いつも予想以上に丁寧な返事が返ってきて驚かされる。今回はたまたま新種で、しかもほぼ完全な標本だった」と話す。