ニッポンレンタカーサービス(以下、NRS)が7月26日、屋久島空港営業所に配備している電気自動車(EV)を活用する災害時連携協定を屋久島町と締結した。
NRSは今年4月、全国の営業所に先駆けて屋久島と種子島にスバルのEV「ソルテラ」を2台ずつ配備し、EVレンタカーの実証実験を進めている。地域選定の理由としては、自然が多く環境意識の高い地域であること、航続距離の懸念が少ない島内利用であること、加えて屋久島では充電施設が充実していることなどを挙げる。
屋久島空港営業所(小瀬田)によると、EVであっても同等クラスのガソリン車とレンタル料金は変わらない。島内には、ほぼ100%水力発電による豊富な電力を無料で使える充電設備が多くあり、ガソリン代がかからない分、ガソリン車よりも経済的。9月30日までは約40%引のキャンペーンを行っている。
今回締結した連携協定は、災害時に屋久島町の要請を受けてソルテラを派遣し電力供給を行う。ソルテラには非常時給電システムを標準装備しており、後部のAC100V(最大1500Wまで)コンセントを使って電力供給が可能。災害時には照明や携帯電話機の充電、湯沸かしなどに利用できる。屋久島町によると、災害対策本部が設置される役場には非常時用発電機が備わっており、避難所となる公民館などでの利用を想定しているという。
屋久島空港営業所で行われた調印式には、日高豊副町長とNRSの板垣勇治取締役専務執行役員が出席した。板垣専務は「ニッポンレンタカーグループは、北は稚内から南は石垣島まで国内約560カ所に営業所を構えているが、災害時の応援協定を締結するのは屋久島が初めて。再生可能エネルギー実質100%を実現しており、脱炭素に最も近い島として、EVの普及にも注力している背景がある」と話した。
当日は、ソルテラの1台がレンタル中で、営業所に残ったもう1台を使い、出席した町職員らに営業所長が電力供給の実演を行った。職員の一人は「この機能が必要となる災害が来ないことを願う」と話していた。