屋久島空港(屋久島町小瀬田)に、従来のディーゼル式に代わる電池式のGPU(地上動力装置)が配備され、4月1日に運用が始まった。
同空港には、日本航空(JAL)グループの日本エアコミューター(JAC)が1日7便の定期便を運航している。使用する航空機はヨーロッパに本拠を置くATR社のターボプロップ(プロペラ)機ATR42-600とATR72-600。多くの旅客機は駐機中に機内に電源を供給するためのAPU(補助動力装置)を備えているが、これらの双発ATR機にはAPUがなく、右側のメインエンジンを、プロペラを回転させないホテルモードで動かして発電する。
空港では、航空燃料の消費を避けるために、駐機中は地上から電源を供給するのが一般的。屋久島空港のような小さな空港では、このために移動式のGPUを使用する。ATR機が着陸すると移動式GPUが近づき、給電ケーブルを接続する。右側エンジンが停止すると同時に給電を開始する。
従来はディーゼル発電機を搭載したGPU車を使っていたが、JACは同社が就航する鹿児島県内の全ての離島空港に、国内で初めてリチウムイオン電池を搭載した電池式GPUを導入した。デンマークのITW GSE製「7400 eGPU」で、日産の電気自動車「リーフ」のバッテリーパックを内蔵して、リーフと同様に充電し、航空機用の電源に変換して給電する。
ディーゼル発電機のような排ガスは出ず、音も静かで振動もなく、運転費用や維持費用も軽減できる。装置自体は小さく、普段なら牽引車で移動するが、空港ターミナルビル所長の備(そなえ)英樹さんによると「作業員2人なら人力で移動できる」という。屋久島に飛来するATR機の駐機時間は平均30分ほど。「1日7便の電源供給を行っても、バッテリー容量の35%ほどが残る。最終便が飛び立った後、空港ビルに設置した200ボルトのコンセントに接続しておけば、翌朝には100%に充電されている」とも。
屋久島の駐機場には、荒天時などに2機が同時に駐機することがある。その場合は、これまで使っていたディーゼル式GPUも使って2機同時に給電する。