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屋久島の小学校で「へいわのお話」 島における戦争被害や戦後の様子を語る

戦後、小学校では毎年のように「平和」をテーマにした劇が上演された

戦後、小学校では毎年のように「平和」をテーマにした劇が上演された

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 屋久島町立宮浦小学校(屋久島町宮之浦)で、7月6日、「へいわのお話」と題した平和教育講演会が行われた。

戦時中、砲撃の的となった旧「屋久島測候所」(屋久島町一湊)

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 登壇したのは島の北部、一湊に暮らす兵頭昌明(まさはる)さん。屋久島に生まれ、4歳で終戦を迎えた兵頭さんが、見聞きした戦後の様子や伝え聞く戦中の空襲などについて、スライドを交えて話した。

 一湊集落は「屋久島測候所」や商業港、漁港があったため、屋久島の中で最も空襲の被害が多かったという。今でも、旧「屋久島測候所」の壁には弾痕を補修した痕が見て取れる。終戦から後も、不発弾に触れて手を失った人、爆撃の音を思い出す打ち上げ花火を見られなかった人など、「戦争が体と心に消えない傷を残す」様子を実体験を交えて語り、小学1年生から6年生まで、204人の児童は、20分の講話に耳を傾けた。

 中でも子どもたちの関心を引いたのは、終戦翌年に初めて訪れた鹿児島で、屋久島から持参したおむすびを現地の子どもに奪われたエピソード。「『怒ってはいけない。あの子たちは何日もご飯を食べていないかもしれない』と母親から諭された日のことを、今でもおむすびを食べるたびに思い出す」と兵頭さんが話すと、会場となった体育館は、水を打ったように静まり返った。

 今回の講話を企画した宮浦小学校の金子哲之校長は、「平和な屋久島をつくる担い手として子どもたちの心に、兵頭さんのメッセージが残るとうれしい」と語った。

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