屋久島と口永良部島を結ぶ海底ケーブルの敷設作業が3月7日、屋久島側の揚陸地点「いなか浜」(屋久島町永田)で始まった。
敷設船「きずな」(右)と、周辺警備にあたる小型敷設船「おりおん」
全長32キロの海底ケーブルを搭載した敷設船「きずな」は、いなか浜沖数百メートルの位置に静止し、船尾から引き出されたケーブルを小型船と14人のダイバーが波打ち際へ運ぶ。先端にはけん引用のロープを取り付け、2台の重機で引っ張って砂浜に引き上げる。航走中、海底に沈まないよう、ケーブルには一定間隔でタイヤチューブの浮きをくくり付ける。
陸上にはケーブルを引き出すためのマンホールを設置。砂浜までパイプが埋め込まれており、パイプから波打ち際までは重機が砂を掘り起こして、深い谷ができている。その間を直径5センチほどのケーブルを約10人の作業員が担いで運ぶ。
「きずな」の母港は長崎港。ケーブルを積み込んで永田沖に到着し、3月4日にはもう一方の揚陸地点である口永良部島西之浜まで敷設コースを試走して、海底データなどを収集した。当初は翌5日に陸揚げ作業を始める予定だったが、悪天候のために2日遅れての作業開始となった。
「きずな」の後部は広い作業甲板になっており、下の「タンク」と呼ばれるスペースにケーブルを収納する。海底ケーブルは、光ファイバーを鋼線で包んで保護するが、損傷しやすい海岸付近は鋼線が二重になっている。敷設コースに合わせて一重のケーブルと連結し、1本のケーブルとして積み込む。
いなか浜での陸揚げを終えた「きずな」は3月7日午後から、海岸近くの敷設を支援した小型の敷設船「おりおん」と共に、一晩かけて口永良部島までケーブルを敷設しながら航走した。西之浜での揚陸は8日朝開始。