屋久島町口永良部島の地域おこし協力隊の池添慧さんが2月、島内初となる食品加工所立ち上げプロジェクトを開始した。
池添さんは2020年に地域おこし協力隊員として口永良部島に移住。SNSを通しての情報発信や耕作放棄地の利活用などに取り組んでいる。「初めて口永良部島に来た時は何もない島だと思った。かつて3000人だった人口は現在100人ほど。将来無人島になるかもしれないといわれる小さな島で知名度も低いが、1年半暮らしてみて、次第に島の自然と人に魅了された。中でも山の幸・海の幸が豊富でとてもおいしいことに驚いた」と話す。
島を代表する山の幸・大名竹のタケノコは柔らかく、癖がなくみずみずしい。春先になると島の人がタケノコを探しに、こぞって山の中へ入るという。ホウロクイチゴなどの野イチゴやブルーベリーの一種でシャシャンボ、伊勢エビや地魚、夜光貝など、山や海へ出かけるとさまざまな食材が手に入る。
口永良部島への交通手段は屋久島から1日1便運航しているフェリーのみ。「島外へ野菜や魚を販売するには輸送に時間がかかり、費用も高く鮮度が落ちることから、それだけを生業にすることが難しい。加工食品にすることで長期保存が可能になり、販路も広がるのではと」期待を寄せる。
「島全域が国立公園・ユネスコエコパークに指定されている口永良部島は、絶滅危惧種のエラブオオコウモリをはじめ、希少な動植物が生息する。島の魅力で、豊かな自然が育んだ山の幸や海の幸をより多くの人に届けるために、食品加工所を立ち上げたい。商品を通して島を訪れるきっかけをつくり、島の活性化にもつなげたい」と意気込む。
現在、同プロジェクトの支援者をクラウドファンディングで募集している。3月25日まで。