屋久島空港(屋久島町小瀬田)で12月5日、警察・消防・医療機関などが参加する総合的な消火救難訓練が行われた。
航空機の事故発生に伴う消火救難活動や負傷者の救助を迅速に行えるように、島内の関係機関が合同で行うもの。滑走路やエプロン(駐機場)を使用するため、航空機の運航に支障がないよう、オフシーズンのこの時期に実施することが多い。昨年は新型コロナの影響で合同訓練は行わず、空港の自衛消防団が単独で、化学消防車2台だけを使って訓練を行った。
2年ぶりの合同訓練となった今回参加した機関は、屋久島警察署、熊毛地区消防組合に属する北分遣所と南分遣所、空港周辺の6つの地区の消防団、総合病院の屋久島徳洲会病院。空港用化学消防車2台を含む消防車8台、救急車3台、パトカー1台が空港内に入って訓練を行った。
訓練開始の時刻になると、参加車両がけたたましいサイレンを鳴らしながら空港に集結し、事故機を想定して消防車が滑走路で放水する一方、救急隊員が治療優先順位を決め、空港職員の手も借りて「けが人」を搬送していった。空港近くの長峰地区と小瀬田地区の住民には、あらかじめ防災行政情報無線を通じで訓練のサイレンであることが周知されていた。
化学消防車は、実際の航空機火災の場合は泡をまくが、訓練では水をまく。空港管理事務所によると、泡をまくと次の航空機が着陸するまでに滑走路を完全に掃除しなければならない上に、空港の消化剤備蓄量が規定されており、使った消化剤を補充する必要があるという。
訓練後、参加者たちが空港ターミナル前に整列し、荒木耕治町長から「離着陸時に事故が多く大災害になりかねない。いざというときに迅速に行動できるように訓練を通して備えてほしい」と激励のあいさつがあった。