観光かごしま大キャンペーン推進協議会が11月25日、レスポンシブル・ツーリズムをテーマにしたオンラインセミナーを開催した。
ハワイ州観光局の取り組みを紹介する日本支局長のミツエ・ヴァーレイさん
同協議会は、鹿児島県の魅力を全国にPRすることで観光客誘致を図ることを目的とする組織。鹿児島県、県観光連盟、市町村、観光関係団体などから成る。屋久島に加え、今年7月に奄美大島・徳之島が世界自然遺産に登録されたことを受け、両地域をより良い観光地にしようと、環境省の助成を得てレスポンシブル・ツーリズムについての啓発活動を始めている。
レスポンシブル・ツーリズムとは責任ある観光の意で、観光地の環境や文化などに与える影響を旅行者も責任を持つべきだとする考え方。従来の「来てくれる人は誰でも大歓迎」という発想を切り替え、地域の住民や自然環境などに配慮する「責任ある旅行者」に来てもらえるように観光地側が誘導することで、環境を保全するとともに地域経済への効果を期待する。
今回のセミナーは啓発活動の一環で、屋久島と奄美大島・徳之島の観光担当部署や団体を主な対象として海外の事例などを紹介。屋久島からは町の観光推進係や観光協会がオンライン参加した。
米国・ハワイからは、ハワイ州の観光への取り組みを具体例を交えて紹介。ホテル宿泊税を活動原資とする州観光局が観光業の品質向上や商品開発を進める一方で、自然資源や文化の継続維持のためにレスポンシブル・ツーリズムを推進しているという。
米国本土の事例では、アリゾナ州セドナの環境、住民の生活の質、観光経済の質、観光客の体験を4本の柱とする持続可能な観光への取り組みを紹介。日本国内からは、インバウンドの伸びとともに行き詰まり感があった観光振興施策に触れ、「デジタル化と合わせて自然・文化の保全が今後の観光振興の鍵となる」といった提言があった。
協議会は12月9日と17日にもワークショップを開く。ワークショップでは、地域が大切にしていることの明確化、旅行者へのメッセージ作り、体験してほしい具体的な観光内容の掘り起こしなどの作業を予定する。作業には、今回のセミナーで進行役を務めた「地球の歩き方」が協力する。