八幡小学校(屋久島町平内)の5年生が9月3日、自分たちが植えて大きく育った稲を手作業で刈り取る体験をした。
八幡小学校がある平内地区は島の南部に位置し、温暖な気候を反映して島内でも稲作が盛んな地域。台風シーズン前のこの時期は、早場米の収穫作業をあちこちで目にすることができる。
稲刈り体験を指導したのは、屋久島町歴史民俗資料館(屋久島町宮之浦、以下歴民館)に勤める黒飛淳さん。自身も稲作をしている黒飛さんは、子どもたちに米作りを体験してもらおうと、5月に「コシヒカリ」の種もみを購入して苗を作り、島内の小学校に配布した。特に八幡小学校では、歴民館が管理する平内民具倉庫(平内)の近くにあることから、所蔵する伝統農具を実際に使って米作りを体験できるよう、黒飛さんが一貫して指導を行っている。
近くの農家の助けも借りて、空いていた幅1.5メートル、長さ8メートルほどの花壇を耕し、6月初めに5年生が田植えを行い、6月中旬には民具倉庫の古道具を使って手入れをした。今年の梅雨は長かったが梅雨明け以降は好天が続き、台風の襲来もなかったことから稲は順調に育ち、夏休み明けを待って収穫することになった。
5年生11人が手袋を持って花壇に集合し、のこぎり鎌で稲を刈り取る方法と、刈り取った稲をわらで束ねて稲架(はさ)と呼ばれる横木に掛ける方法を学んだ。ほとんどの児童は鎌を使うのが初めてで、最初は硬い稲に手こずっていたが、次第にこつをつかみ、予想より早く刈り取りが終わった。稲を束ねるには、わらを一周させておいて稲を3回ほど縦に回転させてわらをねじる。この動作が小学生にとっては難しく、片手にわら、もう一方に稲を握ったまま考え込んでいる児童もいた。
刈り取り作業が終わったところで、黒飛さんから「稲架掛けの役割と、切り口を上にすることで乾燥しやすくなるなど、昔の人たちの知恵が生きている」と説明があった。
刈り取った稲は1週間ほど乾燥させてから、平内民具倉庫の古道具を使って児童たちが脱穀する予定。