屋久島環境文化村センター(宮之浦)交流ホールで、山岳写真家の新井靖雄さんが4月22日~25日、写真展「雪の屋久島」を開催する。
屋久島町役場(小瀬田)フォーラム棟で4月10日~18日に開催した同名の写真展が終了後、作品の一部を入れ替えて開催する。雪の中の大木を扱った作品などが追加される予定。
新井さんは秩父山岳連盟の副会長。山岳救助にも出動する消防隊員を務めながら、山岳写真家としても活動してきた。58歳のとき初めて屋久島を訪れ、淀川小屋から見た満天の星に感激して以来、島に通うようになった。山中で雪景色に遭遇したのがきっかけで「屋久島の雪」にテーマを絞り、定年後は毎冬3回、各回2週間の行程で来島し撮影を続けている。フィルムカメラ4台を含む80キロの装備を運び上げ、単独で10日間を山中で暮らす。
昨年11月、15年間に撮影した2300点以上の写真の中から70点を選び、写真集「雪の屋久島」を出版した。これを機に、普段は見ることができない奥岳の雪景色を島民にも鑑賞してもらおうと、写真展を開催することにした。
山上の雪や霧が強風によって岩や木に吹き付けられると、「エビのしっぽ」のような形になって風上側に成長していく。「屋久島のエビのしっぽは種類が多く、変化に富んだ雪景色を作る」と新井さんは言う。展示作品の「大寒のたまご」は、大寒の日に直径4メートルほどの岩にエビのしっぽが円を描くように並んだ珍しい現象。特殊な風によるものらしいが、詳しい原因は分からない。
写真集の表紙にもなった「雪の大岩壁」は、永田集落を見下ろす永田岳の「V字峡岩壁」にエビのしっぽが密着した貴重な写真。撮影ポイントまで20メートルの絶壁をザイルで降りて撮影した。通常のボルトは使えなかったので、70センチの木製クサビを岩の割れ目に打ち込んでザイルを固定したという。まさに命がけの一枚。74歳にして現役クライマーの新井さんは「まだどうしても撮りたい写真があり、体力が続く限り挑戦したい」と意気込む。
環境文化村センターでの写真展の入場時間は9時~17時(最終日は16時まで)、入場無料。